（2025年5月23日付、大統領府の標記発表の概要は以下のとおり）

トランプ大統領本日は、米国の原子力産業基盤の再興を目指す包括的な大統領令に署名した。エネルギー安全保障、経済的優位性、国家安全保障の確保を柱とし、原子力燃料サイクルの再構築、新型原子炉の開発加速、人材育成、供給網の強化など、広範な施策を指示している。

本大統領令は、老朽化した核燃料インフラの再生と先進炉技術の導入を通じて、米国のエネルギー主権を回復し、国際競争力を高めることを目的としている。特に使用済燃料の再処理、ウランの国産供給の拡充、原子力関連人材の育成支援といった分野において、省庁横断的な連携が求められている。

【大統領令の主な指示事項】

▽使用済核燃料の管理方針、商業用再処理政策の評価、核廃棄物の有効利用に関する提言をまとめるよう、エネルギー省長官に指示。
▽民生および防衛用の原子炉の需要に対応するため、国内のウラン転換および濃縮能力を拡充する計画を策定。
▽余剰プルトニウムを先進炉用燃料に加工・再利用するプログラムの創設。
▽国防生産法を活用し、濃縮ウランの国内調達に関する協定を国内原子力関連企業と締結。
▽製錬から再処理に至る国内核燃料供給体制の構築を支援し、産業コンソーシアムの設立を推進。
▽原子力発電所の再稼働・建設再開・新設に向けた連邦融資を優先配分。
▽先進原子力技術の早期展開が見込まれる中小企業への資金支援を強化。
▽原子力工学分野を重点教育分野に指定し、大学生や若手研究者への研究機会を拡充。
▽核燃料サプライチェーンの国内回帰を図り、ウラン・トリウム鉱床の採掘から精製まで一貫体制を構築。
▽核廃棄物処理の統合的解決に向け、省庁連携による包括的アプローチを促進。

本政策は、原子力を含む信頼性あるエネルギー資源の活用により、雇用創出、経済成長、国際競争力強化、さらにはエネルギー自立の実現を目指す米国の戦略的方針を示すものである。

[DW編集局]