[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立研究機構(ANR)
元記事公開日:
2025/05/06
抄訳記事公開日:
2025/06/24

ANR、レポート「未来の工場」を公表 2014~2023年の研究支援と産業連携の10年を総括

Publication du cahier n°19 de l’ANR "L’usine du futur"

本文:

(2025年5月6日付、フランス国立研究機構(ANR)の標記発表の概要は、以下のとおり)

ANRは本日、「未来の工場」と題するレポートを公表した。このレポートは、2014年から23年にかけて、ANRの「行動計画」および政府の重点投融資計画「フランス2030」の枠組みにおいて支援されたプロジェクトについて、科学的成果、研究コミュニティの形成、公的研究機関と産業界の協働、さらには国際的な展開の観点から包括的に分析・評価したものである。

この「未来の工場」構想は、ドイツが主導する「インダストリー4.0」に相当し、フランスでは「新産業フランス」の一環として始動した国家プロジェクトである。ANRは、このテーマにもとづき合計178件の研究プロジェクトを支援し、総額1億ユーロを投じた。これらのプロジェクトは、一般公募型の「通常型公募」(AAPG)に加え、公的機関と企業とのパートナーシップ研究、欧州・国際共同研究、さらに「フランス2030」に基づく戦略的プログラムを通じて実施された。

このうち「フランス2030」以外のANR資金による支援は152件、総額6,217万ユーロに達し、採択率は年々上昇傾向を示した。一方、「フランス2030」による支援では、技術研究所(IRT)ジュール・ヴェルヌが最多の17件(IRT全体で24件)を受託し、支援総額は2,591万ユーロ、1件当たりの平均支援額は146万ユーロに及んだ。

研究段階別では、通常型公募におけるプロジェクトの81%が基礎研究、11%が開発試験、8%が産業研究と分類されており、学術的知見の深化と産業応用の両立が図られている。

官民連携の観点では、対象プロジェクトの4件に1件が産業界とのパートナーシップを含み、特に「フランス2030」におけるプロジェクトは全件が産業パートナーとの共同であった。
研究テーマは、工学、デジタル科学、人文社会科学を中心に、数学や環境科学などの関連分野も含む学際的な構成となっている。欧州研究会議(ERC)の分類にもとづく分析によれば、「製品・プロセス工学(PE-08)」領域の中でも、「生産技術・プロセス工学(PE08_09)」や「製造工学・産業デザイン(PE08_10)」が主要テーマを形成している。サブテーマとしては、生産組織における人間の役割、産業ロボティクス、人工知能(AI)の応用、積層造形、相互接続されたスマート工場や、企業・研究機関が連携する産業エコシステムといった項目が挙げられる。

地理的には、178件のプロジェクトに参加した382機関がフランス全土に分布し、最も支援を受けた地域圏は、▽首都圏(イル=ド=フランス)(76件、1,429万ユーロ)、▽オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ(73件、1,421万ユーロ)、▽ペイ・ド・ラ・ロアール(46件、3,047万ユーロ)――であった。

国際連携については、全大陸56か国が関与し、AAPGによる134件のうち106件から国際共著論文が発表された。

最後に官民連携については、AAPGの「PRCE(企業協力研究プロジェクト)」や「LabCom」といったスキームを通じて、産業界との共同研究が推進されている。実際、対象プロジェクトの4件に1件は産業パートナーとの協力を含み、「フランス2030」においては、エアバス、アトランティック・シャンティエ、ナヴァル・グループといった主要企業が積極的に参画している。

[DW編集局]