[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
ジェノポール・クラスター
元記事公開日:
2025/05/28
抄訳記事公開日:
2025/06/25

ジェノポール、GATEXとProtopiaを始動:バイオ産業支援インフラの要として始動

Genopole inaugure GATEX et Protopia : deux plateformes pour industrialiser l’innovation biotech

本文:

(2025年5月28日、ジェノポール・クラスターの標記発表の概要は、以下のとおり)

イル=ド=フランス地域圏議会のヴァレリー・ペクレス議長は5月28日、ジェノポール(Genopole)の新たな戦略的インフラである、パイロット規模のバイオ生産プラットフォーム「GATEX」および精密発酵で得られた原料の配合を研究するラボ「プロトピア(Protopia)」の正式開設を発表した。これらの新たな設備は、ジェノポールのビジョンを強化し、フランスにおける強靭で柔軟性と持続可能性を兼ね備えたバイオテクノロジー産業の形成を支援するものである。

これらのインフラは、多様な支援を受けつつ、バイオテクノロジー系スタートアップを概念実証(PoC)から前工業化段階まで一貫して支援する重要な役割を果たす。

GATEXとプロトピアを統合的に活用することで、ジェノポールは他に類を見ない支援体制を提供し、スタートアップ企業が製造プロセスを最適化し、市場投入の確実性を高め、自立的な事業展開の実現を可能にしている。このようなインフラの連続性は、投資の初期リスクの軽減と、革新的プロジェクトの成熟化を加速するものである。

◆重点投融資計画「フランス2030」の優先課題への具体的貢献

今回の整備は、「フランス2030」の優先課題に則しており、ジェノポールが担う以下の二つの主要任務とも直接的に結びついている。

– 持続可能で健康的かつトレーサブルな食料供給の実現
– 「健康イノベーション計画2030」の枠組みにおける革新的バイオ医薬品の開発支援

生態系危機、パンデミック、サプライチェーンの不安定化、さらには持続可能性への社会的要請が高まる中、 市場はグリーンテック、フードテック、ヘルスケアテックへと急速にシフトしている。このような背景のもと、GATEXとプロトピアは、新興プレイヤーに対し、産業主権の確保、環境移行、そしてグローバル競争力の強化という三大課題への対応策を提供している。

◆2040年を見据えた5つの主要分野へのインパクト

バイオテクノロジー、特に合成生物学は、2040年に向けて以下の5つの戦略的分野において中心的な役割を果たすと見込まれている。
– 健康とライフサイエンス:医薬品のバイオ生産、革新的治療法、バイオセンサーなど
– 食料安全保障と土壌再生:代替タンパク質、バイオ肥料、持続可能な農業技術など
– 脱炭素と循環型社会の実現:バイオ燃料、生分解性プラスチック、生物学的リサイクルなど
– AIと自動化:モデリングの高速化、新材料の設計など
– 分散型生産:地域単位でのバイオ生産拠点、地域密着型の流通網、産業のレジリエンス向上など

ジェノポールは、GATEXおよびプロトピアの整備を通じて、責任ある効率的バイオエコノミーの実現に貢献し、2030年までにフランスが直面する産業的・環境的・社会的課題に積極的に備える体制を強化している。

◆両インフラの主な諸元(いずれも2024年に事業開始)

GATEX:面積は70㎡(2027年に1,200㎡に拡張予定)。支援対象分野はバイオ生産、ヘルスケア、農業食料、化粧品。目的は製法最適化、耐性菌株の試験、工業化に向けたスケールアップ。20リットル規模の発酵器を装備。イル=ド=フランス地域圏より82万ユーロの資金支援。パートナーはパリ・バイオフォンドリー。

プロトピア:10㎡のユニット5基で構成。支援対象分野は農業食料および化粧品。目的は市場向けの成分の調製および試験。実験および配合作業に適した試験台などを装備。イル=ド=フランス地域圏より130万ユーロの資金支援。パートナーはフードインラボ(Food’InnLab)。

[DW編集局]