[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2025/06/11
抄訳記事公開日:
2025/07/02

NASEMが予防接種に関する諮問委員会の全委員解任に懸念表明

National Academies Presidents Stress Importance of Science in Decision-Making About Vaccines

本文:

(2025年6月11日付、全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)の標記発表の概要は以下のとおり)

我々は、予防接種実施諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)の委員全員の解任を含む、保健福祉省(HHS)長官による最近の決定が、ワクチンに関する科学的根拠に基づく意思決定を損なうおそれがあることに深い懸念を抱いている。ACIPは、党派を越えて歴代政権下で、誰が・いつ・どのワクチンを接種すべきかの判断に重要な役割を果たし、疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)に対してエビデンスに基づく指針を提供することで、米国民の健康に多大な貢献をしてきた。

医療専門職は何十年にもわたりACIPの勧告を信頼し、指針としてきた。我々は、科学的助言の重要な情報源が損なわれること、また、何百万の命を救ってきたワクチン政策を支えてきた、エビデンスに基づく確立された意思決定プロセスにも悪影響が及ぶことを、深く憂慮している。

NASEMは、ワクチンのアクセス、安全性、接種スケジュールに関する広範な知見と実績を有しており、ワクチンの安全性を裏付ける科学的根拠は数十年にわたる研究によって確立されている。ワクチンは、歴史上最も厳格に試験・監視されてきた医療技術の一つであり、重篤な副作用のリスクは極めて低い。これに対し、ワクチンで予防可能な疾患の多くは、はるかに高い罹患および死亡のリスクを伴う。

ACIPの再編にあたっては、ワクチンに関する意思決定を担う者として、最良の科学的知見とエビデンスに真摯に向き合う専門家を任命するよう、HHS長官に強く要請する。

[DW編集局]