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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 英国王立協会
- 元記事公開日:
- 2025/06/03
- 抄訳記事公開日:
- 2025/07/03
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英国王立協会、宇宙分野の将来展望を提示:国家戦略の明確化と長期的投資を提言
UK needs clearer vision to secure future in Space, says Royal Society
- 本文:
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(2025年6月3日付、王立協会の標記発表の概要は以下のとおり)
英国王立協会が発表した最新報告書は、英国が今後半世紀における最も重要な技術的・経済的機会の一つを確実に捉えるためには、将来を見据えた一貫性のある宇宙戦略を早急に採用する必要があると警鐘を鳴らしている。
本報告書「Space: 2075」では、科学者、産業界のリーダー、学術界の専門家らが連携し、宇宙科学技術の発展過程を広範に検証している。その検証範囲は、初期の天体観測に始まり、現在の通信衛星や地球観測などの実用技術、さらに太陽系および太陽系外における探査活動にまで及んでいる。この報告書は、将来の予測や理想像の提示ではなく、今後想定される展開に私たちがどう備えるべきかを体系的に示すものである。
本報告書は、宇宙空間が国家や企業の間で競争の舞台となりつつある、まさにこの時期に公表された。地球軌道上や月面におけるインフラ整備をめぐって国や民間企業の競争が加速する一方で、衛星の衝突リスクや宇宙ゴミの増加、さらには宇宙の軍事利用に対する国際的な懸念も高まりつつある。こうした動向に対し、明確かつ協調的なガバナンスが欠如すれば、世界の安全保障や経済、環境に深刻な影響を及ぼすおそれがある。
本報告書は、英国政府に対し、宇宙に関する明確な国家的目標の策定、人材育成と研究基盤への長期的投資、そして今後浮上する倫理的・政治的・経済的課題に社会として備えることを強く求めている。
宇宙の将来に対する展望には依然として多くの不確実性があるものの、本報告書は、英国が受動的な姿勢をとる余地はないと断言する。今後の月・火星・それ以遠への探査活動は、所有権、科学的アクセスの公平性など、複雑な問題を提起することが予想される。こうした課題に的確に対応するには、強固な国際的パートナーシップのもとで策定された明確な国家戦略が不可欠である。
[DW編集局]