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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ヘルムホルツ協会(HGF)
- 元記事公開日:
- 2025/05/27
- 抄訳記事公開日:
- 2025/07/03
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ハンブルク市民の気候変動リスク認識年次調査で若年層の危機意識が低下
Klimawandel: Weniger junge Menschen in Hamburg fühlen sich bedroht
- 本文:
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(2025年5月27日付、ヘルムホルツ協会(HGF)の標記発表の概要は以下のとおり)
HGFへレオン・センターは、気候変動に対する市民のリスク認識に関する調査結果を発表した。回答者の大多数は、気候変動が顕著であり、ハンブルクに脅威をもたらしているとし、高潮、大雨、熱波を主要な危険要因として挙げた。一方、それらを脅威と感じる青少年・若年成人や男性の割合は減少している。
調査を主導したのは、ハンブルク大学教授のラッター(Prof. Beate Ratter)教授である。気候変動を大きな脅威と見なす14歳~29歳の割合が前年より11ポイント減少しており、男性では、同様の認識を持つ割合が44%から35%に減少している。
ラッター教授は、他の危機への関心の高まりに加え、調査時の天候や質問文の表現も、認識低下の要因となっていると指摘している。メディアの言説が世論形成に大きな影響を与えているようだ。
「どの自然災害がハンブルクに最も深刻な影響を及ぼすか」という問いにおいても、今年は明確な変化が見られた。熱波を深刻な自然災害と捉える回答は11%で、前年より3ポイント増加した。大雨は12%でやや減少し、高潮は70%と最多であった。61%の回答者は既に気候変動の影響を実感しており、60%は将来的な自然災害への被災を想定している。76%が警報アプリを利用または導入予定であり、半数は備蓄(+2%)や近隣支援(+5%)にも取り組んでいる。
都市の主要課題としては交通(42%)、住宅(40%)、教育(21%)が上位で、気候問題は7%にとどまった。ハンブルク市は2030年までにCO2排出量を1990年比で70%削減する目標を掲げているが、ラッター教授は「目標達成には一層の社会的努力が不可欠である」と強調した。
本調査は2008年から毎年実施されており、市民の意識変化や備えの実態を継続的に記録している。ヘレオンは持続可能な未来の実現に向け、沿岸・気候研究における先端的知見を政策や社会に還元する役割を担っている。
[DW編集局]