[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立宇宙研究センター(CNES)
元記事公開日:
2025/06/17
抄訳記事公開日:
2025/07/08

仏、ギアナ宇宙センターのディアマント発射場を再生し民間小型ロケット打ち上げ事業を推進

L’ELM-Diamant, un pas de tir dans la marche de l’histoire spatiale

本文:

(2025年6月17日付、国立宇宙研究センター(CNES)の標記発表の概要は、以下のとおり

パリ航空ショーで発表された将来の多目的発射施設(ELM)により、ギアナ宇宙センター(CSG)から民間企業が小型衛星を低軌道へ打ち上げられるようになる。

NewSpaceと呼ばれる新興の宇宙開発企業群の登場により、フランスと欧州では、低軌道に小型衛星を投入する新たなマイクロ・ミニロケット発射場の整備に対する関心が高まっている。CSGは、地理的優位性と豊富な打ち上げ実績を兼ね備える。今後、ディアマント・ロケットの歴史的な発射場が、超小型衛星打ち上げ用に転用される予定である。

この再整備プロジェクトの概要を、以下五つの問答形式で示す。

◇CSGへの多目的発射場整備は、フランス・欧州の宇宙開発における新たなステージか?

CSGは、フランスおよび欧州宇宙機関(ESA)の歴史的な発射場であり、新発射場の整備により、民間企業が開発したマイクロ・ミニロケットの打ち上げが可能となる。2026年から、欧州プログラムのロケットと、NewSpace企業が開発したロケットとが、CSGで初めて共存する。これらの企業は、質量1,500kg未満の低軌道衛星市場の獲得を目指している。

◇CSGでマイクロ・ミニロケットを打ち上げる利点は何か?

発射場を利用する企業は、欧州における宇宙港としての60年の運用実績と高度なサービスの恩恵を受ける。CNESは、打ち上げ作業全体の調整や、安全・環境保護を担う。さらに、CSGは赤道近傍という地理的優位性を有しており、ハリケーンや地震もない。

◇歴史的なディアマント発射場が選ばれた理由は?

CNESが所有するディアマント発射場の既存インフラを活用することで、改修コストと環境負荷を抑制できる。共用設備は、フランス2030計画の一環としてCNESが5,000万ユーロを拠出して整備する。

◇ELM-ディアマントに参画予定の民間企業は?

ELM-ディアマントでは最大5基のマイクロ・ミニロケットを収容し、ISAR Aerospace、RFA、PLD Space、Maiaspace、Latitudeの5社が、フィージビリティ・フェーズに関わる実施事前契約に署名している。今後、各社の専用設備の整備に向け、CNESとの開発契約が締結される予定である。設備は、各社自身またはCNESにより整備される。最初の契約は2025年パリ航空ショーでPLD Spaceと締結された。また、発射場では再使用型一段機の実証飛行(CALLISTO)の準備・実施も行われる。さらに6月17日には、CNESがPLD Spaceと、MIURA 5ロケットの2026年打ち上げに向けた発射場整備契約を締結した。

◇マイクロ・ミニロケットの仕様と用途は?

ロケットは2段または3段の液体推進式で、用途は地球観測、通信、航行など多岐にわたる。唯一の制約は、低軌道で1,500kg未満の打ち上げ能力のロケットであることである。将来的にCSG全体で年間30〜40回の打ち上げが可能となる。

本年の現場工事開始を経て、2026年にはマイクロ・ミニロケット第1号機の打ち上げ準備および試験が行われる見通しである。

[DW編集局]