[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
首相官邸、科学・イノベーション・技術省、教育省、スターマー首相
元記事公開日:
2025/06/08
抄訳記事公開日:
2025/07/09

英国政府、国家AIスキルプログラム「TechFirst」を創設:技術人材の拡大へ1.87億ポンドを投資

PM launches national skills drive to unlock opportunities for young people in tech

本文:

(2025年6月8日付、首相官邸、科学・イノベーション・技術省、教育省、スターマー首相の標記発表の概要は以下のとおり)

スターマー首相は、将来のAI時代における雇用に対応するため、全国の若者に必要なスキルとツールを提供するための新たな国家スキル育成プログラム「TechFirst」の創設を発表した。

本プログラムは、総額1億8,700万ポンドに上る政府資金を投入し、デジタル及び人工知能(AI)技術に関する教育を教室や地域社会に導入することで、あらゆる年齢層や経歴を持つ人々を、将来の技術系キャリアに向けて育成することを目的とする。また、同戦略は、今後発表される新たな産業戦略の中核的な施策の一つとして位置づけられる。

今回の発表は、英国政府が全国の若者の将来に積極的に投資し、居住地や育った環境にかかわらず、すべての人に平等な機会を提供しようとする強い姿勢を示すものである。これは、DSITの委託により実施された調査によれば、2035年までに約1,000万人の労働者がAIを業務の一部とする職に就き、さらに約390万人はAI関連分野に直接従事する見通しであることを背景とする。

「TechFirst」戦略の中核を担うのが、2,400万ポンドの政府資金を原資とする「TechYouth」プログラムである。今後3年間で英国全土の中等学校に通う約100万人の生徒に対し、技術教育、新たなスキル訓練、キャリア開発の機会を提供することを目指す。

また、コンピューティングやテクノロジー関連分野のキャリアに関する理解を深め、意欲を喚起するオンラインプラットフォームも設置される。これは英国のほとんど中等学校でアクセス可能な、すでに10万人以上の生徒が登録しているCyberFirstプログラムのプラットフォーム「Explorers」を基盤とする。

さらに「TechFirst」は、以下の3つの支援施策を通じて4,000人を超える大学卒業者、研究者、イノベーターの人材育成を支援する。

▽TechGrad(9,680万ポンド)
AI、サイバーセキュリティ、コンピュータサイエンスなどの分野で、毎年1,000人の優秀な英国人学生に学部奨学金を提供する。
▽TechExpert(4,840万ポンド)
戦略的技術分野の研究力強化とイノベーションの加速を目的として、国内の博士課程学生500名に最大1万ポンドの追加研究資金を提供する。
▽TechLocal(1,800万ポンド)
地域のイノベーターや中小企業による新技術開発やAI導入を支援するために、起業支援資金を提供する。

「TechFirst」の創設に沿って、首相は、2030年までに、750万人の英国人労働者にAIスキルを訓練するための、新しい官民パートナーシップも発表した。Google、マイクロソフト、IBM、アクセンチュア、Sage、バークレイズ、BT、アマゾン、Intuit、Salesforceなどの企業がこれに参画しており、これらの企業は、今週ピーター・カイル科学技術大臣と目標達成について議論し、委任事項に同意することが見込まれている。

[DW編集局]