[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2025/06/18
抄訳記事公開日:
2025/07/10

ONERAとCNRS、宇宙観測プラットフォーム「プロビデンス」の構築で協力、宇宙安全保障基盤を強化

L’ONERA et le CNRS signent un accord de coopération sur la plateforme d’observation de l’Espace : PROVIDENCE

本文:

(2025年6月18日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記発表の概要は、以下のとおり)

ブルーノ・サンジョン国立航空宇宙研究所(ONERA)理事長とアントワーヌ・プティCNRS理事長は6月16日、パリ航空ショーにおいて、ONERAのプロビデンス(PROVIDENCE)プロジェクトの一環として、オート=プロヴァンス天文台に宇宙観測プラットフォームを設置するための合意書に署名した。

宇宙環境の管理に関する課題が深刻化する中、両機関は、プロビデンスプロジェクト(光学研究プラットフォーム:宇宙環境の理解と制御、ならびに宇宙物体の特性評価を目的とする防衛分野向けの革新的基盤)の一環として、宇宙観測用光学プラットフォームの構築に向けた協力を表明した。目標は、2028年までに高角度分解能に最適化された口径2.5メートルの望遠鏡を開発し、特に低軌道上の物体追尾を可能とすることである。

CNRSとONERAは長年にわたり協力関係を築いており、最新の枠組み協定は2023年7月21日に5年間の期間で締結された。共同研究、博士論文を含む人材交流、研究グループやテーマ別研究ネットワークを通じた協働が進められている。今回の共同声明は、ピテアス研究所宇宙科学天文台(CNRS/エクス=マルセイユ大学(AMU)/国立開発研究所(IRD)の共同運営)の一部門であるオート=プロヴァンス天文台に「プロビデンス」の研究基盤を整備することを目的としている。

この協力により、両機関が新たな宇宙観測能力を獲得する。すなわち、高解像度の宇宙画像化および防衛関連物体の特性評価において、欧州で唯一の能力をフランスが有することになり、ONERAの宇宙状況把握における専門性を一層強化する。また、天体観測、安全な光通信を実現するための大気中レーザー伝搬の制御、環境評価など、科学的デュアルユースの課題にも応える。この協力は、両機関の科学技術的専門性の補完性を活かし、相互投資の実効性を高めることを可能とする。

プロビデンスは、国防省が関心を寄せる宇宙物体の特性評価・識別に向けた技術ソリューションの事前検証プラットフォームとして機能し、衛星や宇宙ごみの受動的・能動的観測の新概念をテストする。

プロビデンスは、ONERAが36年以上前に開発した補償光学装置を用いて補正天体画像が取得されたことに始まるCNRSとの協力関係の、新たな段階を示している。当時その装置が設置された建物が、今回「プロビデンス」を受け入れる施設となる。両機関による緊密な協働を通じ、共通プラットフォームの構築は一層の深化を見せており、プロビデンスは2028年末までに運用を開始、2029年には初期データの取得が予定されている。

[DW編集局]