[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立衛生研究所(NIH)
元記事公開日:
2025/07/08
抄訳記事公開日:
2025/08/05

NIH、公的資金による研究成果の出版費用に上限措置

NIH to crack down on excessive publisher fees for publicly funded research

本文:

(2025年7月8日付、国立衛生研究所(NIH)の標記発表の概要は以下のとおり)

NIHは、NIHの支援を受けた研究者が成果を発表する際に、出版社が請求できる金額に上限を設ける新たな方針を発表した。NIHのバッタチャリア所長は、「開かれた誠実で透明性の高い研究環境の整備は、公衆衛生への信頼回復に不可欠であり、この改革は、納税者の利益にならないゆがんだ報奨構造の是正と、科学の公開性の向上を両立するものだ」と述べている。

学術出版を取り巻く現状は深刻化しており、一部の大手出版社は、論文1本あたり最大1万3,000ドルもの即時オープンアクセス料を請求するほか、政府機関から多額の購読料も徴収している。例えば、ある出版社はNIHから年間200万ドル超の購読料を受け取る一方で、排他的に設定された論文掲載料(APC)により、さらに数千万ドル規模の収益を得ている。こうした費用は、研究資金の拠出元である納税者の負担となっている。

このような不均衡を是正するため、NIHは2026年度から出版費用に上限を設け、研究資金制度全体において出版費用の妥当性を確保する方針である。これにより、過度なAPCを抑制し、経済的障壁を排除しつつ、研究成果の広範な普及を目指す。

本改革はNIHの下記施策に基づいている。
・NIH資金による査読付き論文を無料で一般公開する「公共アクセス方針」
・出版状況にかかわらず科学データの共有を促進する「データ管理・共有方針」
・研究活動・支出・成果を開示する「研究ポートフォリオ・オンライン報告ツール(RePORT)」
・NIHが開発した技術の普及促進のため、戦略的なライセンスで患者や市民のアクセスを向上させる「内部研究アクセス方針」

[DW編集局]