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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ヘルムホルツ協会(HGF)
- 元記事公開日:
- 2025/08/25
- 抄訳記事公開日:
- 2025/09/19
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多くの国で炭素税は排出削減に不十分:象徴的・財政的目的が優先か
- 本文:
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(2025年8月25日付、ヘルムホルツ協会(HGF)の持続可能性研究所(RIFS)の標記発表の概要は以下のとおり)
多くの国では、導入されている炭素税の水準がCO2排出削減には十分でなく、象徴的または財政的な目的にとどまっている。エアランゲン・ニュルンベルク大学(FAU)、ポツダム大学、およびドイツ地球科学研究センター(GFZ)付属RIFSの研究者による最新調査がこの実態を明らかにし、炭素税の設計に対する慎重な検討を促している。
化石燃料への課税は気候政策上有効とされることが多いが、実際には排出量の本質的削減にはほとんど寄与していない。FAU持続可能性移行政策担当教授のリリエシュタム氏(Prof. Johan Lilliestam)は、「十分に高い炭素税で大きな効果が得られるかは明確でないが、低い炭素税では効果はわずかか、あるいは全くないことに関してはコンセンサスがある」と述べる。
世界では25カ国が炭素税を導入しているが、実効性のある水準に達しているのはスウェーデン、ドイツなど6カ国に過ぎない。リリエシュタム氏らは残る19カ国について、低い炭素税の導入理由とその後の変化を調査した。その結果、導入国は3つのグループに分類できることが分かった。
第一のグループは、導入後に段階的に税率を引き上げることを前提として低い税率で設定した国々(スイス、フランス、カナダ)である。この場合、政治的抵抗を回避しつつ、排出削減を将来目標として掲げることが可能となる。
第二のグループ(日本、シンガポール、コロンビア)は、炭素税を主に他の気候・環境プログラムの財源として導入した。
最大の第三グループは13カ国に及ぶ。これらの国では低い炭素税の導入が気候目標とは直接関係せず、フィンランドでは所得税減税、アイスランドでは一般財政収入増など、他の政治的目的のために導入された。アルゼンチンはOECD加盟を見据え、推奨される制度として導入した。「ポーランドのように、炭素税率が低すぎて排出削減効果も歳入増効果もほとんどない国もある。」とリリエシュタム氏は指摘する。
調査対象国の半数以上では、時間の経過とともに炭素税を引き上げ、排出削減効果が現れるようになった。しかし、その過程には多くの場合10年以上かかる。
著者らは、国家財政目的で炭素税が導入された例が少なくなく、科学者がその実効性や政治的意義を現実に基づき評価することが十分に行われてこなかったと指摘する。また、炭素税の導入やカーボンプライシング手法の拡大のみでは気候変動政策の進展を示す指標にはならず、政策の設計、目標設定、CO2排出ゼロを目指す経済システムへの実質的効果に基づき評価されるべきである。
[DW編集局]