[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2025/09/03
抄訳記事公開日:
2025/09/22

NASEM、科学研究の規制を効率化し競争力を強化するための政策提言を発表

New Report Identifies Policy Options to Improve Federal Research Regulations, Bolster U.S. Scientific Competitiveness

本文:

(2025年9月3日付、全米科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine: NASEM)の標記発表の概要は以下のとおり)

NASEMは新たな報告書を公表し、現行規制の改善および研究者の事務負担軽減に向けた53の政策オプションを提示した。米国の科学技術は国民の健康・安全・繁栄に寄与してきたが、時代遅れで、一貫性がなく、重複や矛盾のある規制が科学技術の進展を阻害する懸念が高まっている。報告書をまとめた委員会のアラン・レシュナー委員長は、「解決策は既知であり、規制改革を進めやすい現行の政策環境は、科学者の過剰な事務負担を軽減する絶好の機会である」と述べる。

報告書は、効率的な研究規制の国家戦略を支える3つの基本原則を掲げる。
・連邦・州機関および研究機関間で規制・要件を統一する
・研究リスクの性質・発生可能性・影響に応じて規制・要件を段階的に適用する
・技術を活用し、規制遵守プロセスの効率化・簡素化を図る

これらの原則に基づき、報告書ではシステム全体レベルと個別7つの研究分野における改善策を整理し、最終的に53の政策オプションを提示している。

以下に分野毎に政策オプションの例を示す。

・システム全体レベル:省庁横断的要件の調整役設置、連邦研究政策委員会の設置
・ヒトを対象とする研究:政府間作業部会による方針・定義・審査プロセスの調整・統一
・研究資産保護:CHIPS・科学法改正による研究セキュリティ研修の頻度柔軟化
・財務的利益相反(FCOI):統一的ポリシーの導入、連邦基準以上の報告要件廃止
・助成申請・管理:単一プロセスの導入、AIによる申請・報告自動化
・研究不正:全機関が遵守する統一的かつ柔軟な連邦ポリシーの策定
・バイオ試料研究:中央調整機関の指定、リスク別指針策定、低リスク研究への過剰監督排除
・非ヒト動物を用いた研究:単一の監督機関を設置し複数機関間の重複削減

[DW編集局]