[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国立科学財団(NSF)
元記事公開日:
2025/08/28
抄訳記事公開日:
2025/09/29

NSF、無細胞システムの導入加速に3,240万ドル投資

NSF invests more than $32M in biotechnology, accelerating the adoption of cell-free systems

本文:

(2025年8月28日付、国立科学財団(National Science Foundation:NSF)の標記発表の概要は以下のとおり)

NSFの技術・イノベーション・パートナーシップ(TIP)局は、無細胞システムの導入加速を目的に、4つの研究チームへ3,240万ドルの初期投資を行うと発表した。この技術の新たな応用展開を通じ、米国のバイオエコノミーの成長に寄与することを目指す。

NSFの「無細胞システムの応用拡大推進(CFIRE)」イニシアチブは、生化学プロセスにおける無細胞システムのコスト削減、範囲と機能の拡大、費用対効果の高い応用の開発と実証を目的とする。無細胞システムは、バイオテクノロジーや先進製造業などで、従来の細胞依存型アプリケーションに代わる有望な選択肢を提供する。

DNAの転写や翻訳などの生化学プロセスを、従来の細胞内バイオリアクターではなく無細胞の体外系で実行できる有望なエコシステムが形成されつつある。この方法は短期間での成果の創出、分散型かつ柔軟な製造、精密な環境制御、従来の細胞では得られない生体材料の創製などの利点をもつ一方、現状では細胞利用より高コストであり普及と応用範囲が制約されている。

CFIRE採択チームは、これらの課題を軽減し、改良を繰り返し進める技術的アプローチを開発する。そのためにCFIREは「アイデアラボ(Ideas Lab)」手法を活用してきた。

「アイデアラボ」手法とは、多様な専門家が集い、コスト低減、標準確立、機能拡大、応用分野の優先順位付けなどの課題に取り組む組織横断的な討議プロセスである。この方法により、産業界と学界の先端研究者が結集し、無細胞技術の開発と実用化が推進されている。

NSFのTIP局は、実用志向の橋渡し研究開発を加速する投資を行っており、CFIREイニシアチブもその一環として、無細胞システムの発展を通じて米国の競争力強化を図る。

[DW編集局]