[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2025/09/17
抄訳記事公開日:
2025/10/21

NASEM、温室効果ガス排出と気候変動が健康・福祉に及ぼす影響を総括した新報告書を発表

National Academies Publish New Report Reviewing Evidence for Greenhouse Gas Emissions and U.S. Climate, Health, and Welfare

本文:

(2025年9月17日付、全米科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine:NASEM)の標記発表の概要は以下のとおり)

NASEMの新報告書は、人為的な温室効果ガス(GHG)が現在および将来にわたり健康と福祉に害を及ぼすという証拠について、もはや科学的に異論の余地はないと結論づけた。同報告書は、GHG排出が健康と福祉を脅かすと環境保護庁(EPA)が2009年に判断して以来、科学界が収集してきた証拠に焦点を当てている。

EPAは最近、この判断を撤回する意向を示す規則制定案を通知したが、報告書は、2009年のEPAの判断が正確で時の試練に耐えていること、現在ではさらに強力な証拠により補強されていることを指摘した。また、2009年当時は不確実または暫定的だった気候変動に関する理解の多くが、現在では科学的研究によって解明されているとも述べている。

報告書作成にあたり委員会は、GHG排出、気候システム、健康と福祉に関する情報を提供する公開データセット、幅広い査読済み文献と科学的評価、さらに情報提供要請に対して提出された200件以上のコメントを検討した。結論は以下のとおり。

1.人間活動によるGHG排出は大気中のGHG濃度を増加させている。
2.改善された観測により、GHG排出が地表面を温暖化させ、地球の気候を変化させていることが明確に確認された。
3.人為的なGHG排出とそれに伴う気候変動は、米国民の健康に害を及ぼしている。
4.人為的なGHG排出に起因する気候変動は、米国民の福祉に害を及ぼしている。
5.人間活動によるGHG排出は米国でのさらなる気候変動につながり、GHG排出が1トン増えるごとに予想される変化の深刻さが増している。

[DW編集局]