[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2025/09/23
抄訳記事公開日:
2025/10/29

2027年度大統領府研究開発予算優先事項

Fiscal Year (FY) 2027 Administration Research and Development BudgetPriorities and Cross-Cutting Actions

本文:

(2025年9月23日付、大統領府の標記発表の概要は以下のとおり)

2025年9月23日付で大統領府は行政管理予算局(OMB)と科学技術政策局(OSTP)の両局長名による「2027年度研究開発予算優先事項」を公表した。その概要は以下のとおり。

l 研究開発予算上の優先事項
1. 重要・新興技術における米国のリーダーシップ
・人工知能(AI)
革新的AIパラダイムや計算アーキテクチャの基礎研究に投資し、データ効率が高く高性能なAI技術、AIシステムの解釈可能性や操作性、AIの強靱性やセキュリティに重点を置くべきである。また、科学発見の加速、量子情報、核融合・宇宙探査、自律ロボットなどへの応用を推進し、評価手法と科学データ基盤の整備を重視すべきである。

・量子情報科学技術
量子情報科学の基礎研究を推進する拠点やコアプログラムを深化させ、応用理解と技術成熟を支援する研究開発を優先すべきである。また、コンソーシアム等による共同研究支援、重要インフラ・試験設備投資、先端製造促進、材料・数学・物理科学研究への資金配分を強化すべきである。

・半導体・マイクロエレクトロニクス
産業界や学術界と協力し、基盤材料、デバイス、設計、ソフトウェアを含む半導体・マイクロエレクトロニクス研究開発を推進すべきである。また、次世代半導体の製造・評価のためのツールや施設にも重点を置くべきである。

・先端通信ネットワーク
民間と緊密に連携し、5G・6G・宇宙通信など先端通信技術の基礎研究を強化すべきである。無線システムに最適化されたAI技術や新たな周波数共用手法を推進し、セキュリティとプライバシーを設計段階から組み込んだ応用開発を促進すべきである。

・将来の計算技術
将来の計算技術の革新と社会実装を促すため、エクサスケールからエッジに至る資源統合と基礎研究開発を推進し、資源共有・官民連携の新モデルや卓越拠点・コンソーシアムを通じて持続可能な計算・データ基盤の構築を図るべきである。

・先進製造
付加製造、ロボティクス、自動化など次世代の製造手法や、AI、デジタルツイン、サイバーセキュリティ等による効率性とセキュリティ向上を優先すべきである。特に、AIを活用した材料開発から実用化までの迅速化を重視すべきである。

2. 米国のエネルギー・ドミナンスと新たなフロンティアの探査
・米国のエネルギー・ドミナンス
米国のエネルギー・ドミナンス(支配)確立のため、化石燃料や先進原子炉、地熱・揚水などへの投資を優先し、先進炉や核燃料サイクルの研究開発、国内重要鉱物の評価・加工技術開発を支援すべきである。また、民間依拠の実用化と多分野協働促進も重視すべきである。

・極域研究
北極・南極における米国の国益保護と科学的優位確保のため、観測・予測能力向上研究と関連インフラの維持・強化、航行権確保のための研究開発に優先投資すべきである。

・海洋探査・観測
米国の排他的経済水域および国際海域の海底資源、特に深海採掘に関連する新規・先進技術と協働手法を優先し、大量の観測・研究データを効率的に管理する能力向上にも注力すべきである。

3. 米国の安全保障の強化
・先進軍事能力
新たな脅威に対応し米国の安全を守るため、極超音速兵器や無人・自律システム、強靭な宇宙システム、核抑止能力の研究開発とAI活用による情報収集・監視・偵察の強化を推進し、軍事宇宙研究開発と防衛産業基盤の革新も促進すべきである。

・米国のゴールデンドーム
ゴールデンドーム構想における国内ミサイル防衛ビジョンを支える中核的能力に投資すべきである。また、人材・資源を活用したリスク低減や能力強化策や、創出された技術のデュアルユース展開も追求すべきである。

・備えと強靱性
国家の安全と強靱性向上のため、脅威や災害対応力を高める研究開発に投資し、州・地方政府、民間、個人の備えを支援すべきである。また、サイバー強靱性や量子耐性暗号対応、AI活用による新規データ活用を優先すべきである。

4. 米国の健康とバイオテクノロジーの強化および保護
・米国の健康
米国の主要健康課題を予防・治療するゴールドスタンダード・サイエンスの創出や、植物・動物疾病予防・食品安全技術研究を重視し、次世代オミクス・AIで疾病原因と予防策を解明し国民の健康と生活の質を最大化すべきである。

・バイオセーフティーおよびバイオセキュリティー
生物学的な脅威に対する検知・対応・軽減能力向上のための研究開発投資を確保し、病原性・毒性評価と精度検証を優先すべきである。また、政府資金を提供したプロジェクトがバイオセーフティーおよびバイオセキュリティー基準を明確に遵守することを確保すべきである。

・国内バイオ製造能力
モジュール型・拡張型の生物プラットフォーム革新を支援し、バイオファウンドリ等のインフラを活用して技術の市場化を推進すべきである。

5. 米国の宇宙優位性の確保
宇宙分野の研究開発を強化し、月・火星有人探査や長期滞在、宇宙内組立・資源利用、宇宙天気災害の予測と緩和、宇宙用原子力発電システムや宇宙応用バイオ技術などを推進すべきである。また、国家安全保障研究と商業宇宙活用も重視すべきである。

l 優先すべき横断的取組
1. ゴールドスタンダード・サイエンスの実施と支援
ゴールドスタンダード・サイエンスを優先支援し、科学活動の管理・研修・資金配分のほか、再現性研究や統計検証を推進すべきである。また、連携型公開データベースや研究共有プラットフォームを整備し、事務負担を軽減することで納税者資源を最大限に活用すべきである。

2. 未来の科学技術人材育成
民間部門や州・地方政府と連携し、あらゆる学習段階における有望なSTEM(科学・技術・工学・数学)教育の取り組みを特定し、AIなど新興技術を活用したプログラムに投資すべきである。

3. 世界水準の研究インフラの拡充とアクセス性向上
評価・製造のためのツールや施設、計算・データ基盤、テストベッド、プロトタイピングや認証施設、船舶や研究ステーションなどの研究インフラを拡充し、小規模大学や企業の研究者も含め幅広いアクセスを確保すべきである。また、民間・国際協力やデジタル関連インフラ、自律実験施設整備も優先すべきである。

4. 米国の科学技術エコシステムの再活性化と強化
研究インフラや成果の資金提供・共有に関する革新的モデルを探求し、研究の加速と国内のサプライチェーン・製造能力の強化を図るべきである。行政・規制負担を緩和して技術移転に向けた民間の研究開発投資を促進し、協調プロジェクトや官民・マルチセクター型コンソーシアムを優先支援すべきである。さらに起業とイノベーションを加速し、次世代産業のリーダーを育成すべきである。
また、国家科学技術会議(NSTC)等を通じて省庁間連携や政府外の部門との協力を進め、研究インフラを活用した優先研究領域における取り組みを推進するとともに、研究データのアクセスや共用を確保すべきである。
安全保障上重要な研究開発を競争相手による窃取や悪用から保護するため、リスクに基づくデータ駆動型の技術防護を制度化し、学術界および産業界のパートナーにリソースと具体的指針を提供すべきである。

5. 価値の高い研究への注力
政府機関は中核的なミッションに沿った研究開発に注力すべきである。有望で高い価値をもたらす研究に資源を集中させるため、ファンディングプログラムの再編も考慮すべきである。

[DW編集局]