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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ経済研究所(DIW)
- 元記事公開日:
- 2025/09/26
- 抄訳記事公開日:
- 2025/11/05
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ドイツにおける家族介護の実態と政策課題:非公式介護を支える仕組みの模索
- 本文:
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(2025年9月26日付、ドイツ経済研究所(DIW)ベルリンの標記発表の概要は以下のとおり)
ドイツでは、大多数の要介護者が親族や友人、知人などにより無償で、しかも多くの場合は専門的支援を受けずに介護されている。現在、自宅で暮らす約500万人の要介護者のうち、400万人はこうした非公式(インフォーマル)な介護を受けている。DIWベルリン、ドイツ高齢者問題ドイツセンター、およびドルトムント工科大学の研究者による最新の共同研究は、この非公式介護の実態を詳細に分析した。その結果、介護の形態や負担は、時間的・金銭的要因、介護者の年齢、学歴、収入源などによって多様であることが明らかとなった。
DIW ベルリン国家部門副部長で本研究の共著者ガイアー(Johannes Geyer)氏は、「親族や近親者こそがドイツ最大の介護サービス提供者であり、人口構成の変化に伴って非公式介護の重要性は今後さらに増す。」と指摘している。
研究によると、介護の大半は自宅以外で行われ、主に50歳~65歳の世代が親を介護している。家庭内介護は比較的少なく、多くの場合は配偶者が担っている。介護者の性別構成は女性64%、男性36%であり、家庭内介護では要介護認定を受けている人が83%、家庭外では74%に上る。家庭外の介護者のうち47%は週3回以上支援しており、そのうち3分の1は別の居住地から通っている。家庭内の介護者は45%が退職者であるのに対し、家庭外では16%にとどまる。
経済的負担も無視できず、家庭内介護半数の世帯が月平均136ユーロの追加費用を負担している。家庭外介護では20%の世帯が追加費用を負担しており、その平均額226ユーロに達する。
連邦政府はこうした負担を軽減するため、「家族介護手当」の導入を検討している。その一案として、介護のために就業時間を短縮する、あるいは勤務を一時的に中断する場合に収入を補う給与代替制度が議論されている。DIW ベルリン国家部門長ハーン(Peter Haan)氏は、「家族介護手当は介護者の経済的安定に資するが、長期的な介護や非就業者を十分に考慮しなければ不十分だ」と指摘する。
同氏はまた、増大する介護需要を家庭や友人関係のみで支えることは困難であるとして、専門的介護サービスの拡充と社会的介護保険の財政基盤強化の必要性を強調する。「家庭での介護危機を防ぐには、介護保険制度にさらなる資源と柔軟性を与えなければならない。非公式介護は不可欠だが、過重な負担は強いるべきではない。」と結んでいる。
[DW編集局]