[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
議会上院(元老院)
元記事公開日:
2025/10/08
抄訳記事公開日:
2025/11/06

上院、科学分野における女性参画促進に関する勧告を公表 ― 初等教育から職業分野まで男女平等実現を提唱

XX-XY, féminiser les sciences, dynamiser la société

本文:

(2025年10月8日付、議会上院(元老院)の標記記事の概要は、以下のとおり)

フランス議会上院の「女性の権限および男女機会均等に関する代表団」は10月8日、約120人へのヒアリングを経て、科学分野における女性の著しい数的な不均衡は、女子や女性の教育・職業上の過程における偏見、固定観念、不平等、暴力に起因すると指摘し、女性が科学分野で正当な地位を確立するため、以下の勧告を発表した。

1.すべては初等教育から始まる:数学における男女差の形成
小学校入学時点では、男女の数学の成績にほとんど差はないが、入学からわずか4か月で男子が優位に立つ。この傾向は欧州諸国ではフランスで最も顕著にみられる。家庭や学校におけるジェンダーバイアスの影響により、子供は6歳頃から知的才能や数学的能力を男性像と結びつけるようになる。
数学や科学は女子にも適した分野であるとの認識を育むため、以下を勧告する。
▽小学校教員への科学および数学の教授法研修の強化と、実験や操作的学習を支援するための環境・装備整備、▽ジェンダーバイアスへの認識向上と平等教育の実践化、教員採用試験・継続研修での制度化、▽男女平等に関する啓発キャンペーンの実施と教育関係者向けの具体的手引書の作成、▽メディアでの女性科学者の登場機会拡大、▽学校内外での科学普及・科学活動への全国的支援

2.中等教育における平等な進路選択の促進
中学校段階では女子は数学への関心や自信が男子より低く、特に2019年の高校改革以降、数学を専門選択する女子は男子に比べて大幅に少ない。バカロレア後も進路の男女差は大きく、STEM分野を選ぶ女子は17%にとどまり、男子は44%に達する。
数学と科学への志向を高めるため、以下を勧告する。
▽女子生徒に科学分野の学問や職業を紹介し社会的意義を示すこと、▽若手女性科学者の招聘、▽教育省職員へのジェンダーバイアス防止研修の実施、▽男女平等の価値を若者に浸透させる取組、▽平等の視点を備えた公共の進路指導体制の整備

3.高等教育における女性支援と性差別・暴力からの保護
科学に関心を持ちながらも若い女性がSTEM分野を避ける理由は多様である。学際的分野への志向のほか、数学中心の課程への忌避、著しい男女不均衡や男性優位的・競争的環境への不安、さらに性差別や性暴力の常態化が挙げられる。
女子学生に安全で支援的な環境を提供するため、以下を勧告する。
▽高等教育機関における科学分野での女子学生割当制の試行とその正当性の周知、▽奨励金、寄宿舎、非混合空間等を含む女子学生向け支援策の拡充、▽すべての高等教育機関での性暴力防止計画の実施と職員研修の義務化

4.科学分野の職業領域における女性の採用拡大と定着促進
フランスでは女性の科学研究者は全体の3分の1未満、女性技術者は4分の1未満にとどまり、近年ほとんど変化がない。女性のキャリアは、差別、不平等、性暴力により停滞または中断し、いわゆる「漏れ管」現象を生じている。一方、フランスが科学分野で競争力を維持するには、毎年少なくとも2万人の技術者と6万人の技能者の養成が必要とされる。
女性の採用とキャリア継続を促進するため、以下を勧告する。
▽クオーター制採用、審査員へのジェンダー研修、評価基準の見直し等による教員・研究者の採用・昇進手続きの是正、▽企業での女性採用・昇進促進のための雇用主意識向上、公的支援の平等条件化、女性技術者表彰、▽育児休暇制度改革と若手研究者の家庭支援による仕事と家庭の両立支援、▽科学分野における性差別・性暴力対策の強化

[DW編集局]