[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防高等研究計画局(DARPA)
元記事公開日:
2025/09/24
抄訳記事公開日:
2025/11/14

DARPA、AI性能とエネルギー効率の最適化を目指す「ML2P」プログラムを開始

Energy-aware machine learning

本文:

(2025年9月24日付、国防高等研究計画局(DARPA)による標記発表の概要は次のとおり)

従来の機械学習モデルは性能の最大化のみを目的として設計され、言語モデルや画像認識などの分野で画期的な進展をもたらした一方で、重要な要素である電力消費を看過してきた。この課題に対処するため、DARPAは人工知能(AI)システムが性能とエネルギー使用のバランスを取る方法を根本的に変革することを目的として、「機械学習の物理学へのマッピング(ML2P:Mapping Machine Learning to Physics)」プログラムを立ち上げた。

ML2Pは、ジュール単位でのエネルギー使用量の測定に焦点を当て、機械学習モデルの性能を物理的な電気特性にマッピングする。AIシステム設計にエネルギーへの考慮を組み込むことで、精度と消費電力の最適な均衡を実現できるモデルの創出を目指す。

ML2Pは、電気工学、数学、論理学、機械学習など分野横断的な専門家の知見を結集して「エネルギーを考慮した」機械学習(ML)の新世代設計を推進する。設計段階の全ての選択を連続的に検討し、エネルギー消費とモデル性能のトレードオフを最適化する訓練関数を生成することによって、原理に基づく計算効率の高いモデル開発を支援する。

ML2Pの影響は防衛用途にとどまらず、大規模言語モデル、生成AI、分類タスクなど既存ハードウェア上でのAIのエネルギー効率向上にも寄与し得る。また、汎用計算システム上での機械学習モデル性能を原理的にシミュレーションできるようにすることで、将来のAI向けハードウェア最適化にも洞察を与える可能性がある。

ML2Pが成功すれば、効率と性能が両立する新たなAI設計のパラダイムを確立し、AIシステムが高精度を維持しつつ経済的に高速かつ大規模に運用できる道を開くことになる。

[DW編集局]