[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
EU理事会
元記事公開日:
2025/10/16
抄訳記事公開日:
2025/11/25

EU理事会議長国と欧州議会、欧州防衛産業プログラムに暫定合意

European Defence Industry Programme: Council and Parliament reach provisional agreement

本文:

(2025年10月16日付、EU理事会の標記発表の概要は以下のとおり)

EU理事会議長国と欧州議会の交渉担当者は、2025年から2027年までの期間に総額15億ユーロを拠出する防衛分野特化の資金プログラム「欧州防衛産業プログラム(EDIP)」について暫定合意に達した。

EDIPは、欧州防衛技術産業基盤(EDTIB)の競争力と対応力を高めることでEU の防衛態勢を強化することを目的としている。また、専用の「ウクライナ支援制度」を通じてウクライナおよび同国企業との協力を推進し、将来的なEDTIBへの統合を目指す。さらに、EDIPは、EU全域の防衛製品供給における安全性を確保する初のメカニズムと、加盟国間の長期的な軍備協力を促進する法的ツールボックス「欧州軍備プログラム構造(Structure for European Armament Programme)」を整備する。

■ 15億ユーロの予算でEUの防衛態勢を強化
今回の暫定合意は、欧州委員会が提案した15億ユーロの補助金予算を確定させるものであり、そのうち3億ユーロがウクライナ支援制度に充当される。EU理事会と欧州議会は、ウクライナ支援制度および防衛サプライチェーン変革加速基金(FAST:Fund to Accelerate defence Supply chains Transformation)を含め、今後の予算拡充の可能性を検討するよう欧州委員会に求めた。

■ 欧州の生産能力とサプライチェーンの強化
EU理事会と欧州議会は、EUおよび関連国(EEA加盟国)以外で製造された部品のコスト比率を最終製品部品の推定コストの35%以内に制限することに合意し、欧州特恵原則とパートナー国との協力のバランスを図った。EUまたはその加盟国の安全保障・防衛上の利益に反する非関連国からの調達は一切行われない。

■ 供給安全保障体制の確立
本日の暫定合意は、防衛分野におけるEU初の供給安全保障体制を導入し、危機時に防衛製品および部品への迅速かつ確実なアクセスを確保することを目的としている。暫定合意では、防衛製品と非防衛製品を明確に区別した二段階のアプローチを定めている。

■ 欧州軍事販売メカニズムの構築
EDIPを通じ、EUは欧州軍事販売メカニズム(European military sales mechanism)を構築する。これは防衛製品の一元化されたカタログの提供や防衛製品の供給促進などを行い、EUレベルでの需要拡大と欧州防衛産業の国際市場における競争力強化を図る。

[DW編集局]