[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2025/11/04
抄訳記事公開日:
2025/12/09

オルセーに数学資料センターが開所

À Orsay, une bibliothèque centrale pour les mathématiques

本文:

(2025年11月4日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記発表の概要は、以下のとおり)

ジャック・アダマール図書館は、文献を通してフランスの数学に貢献する施設となっている。開かれた知識交流のために設計されたこの施設は、国の各機関にとって貴重な記憶となる印刷物を収蔵している。

パリ南郊のイヴェット川沿いのかつてのサッカー場に建てられた、四角い建物のオルセー数学研究所には、2017年からジャック・アダマール図書館が入っており、フランスで最も豊富な数学著作物のコレクションの一つとなっている。建築事務所ジャン・ゲルヴィリーとフランソワーズ・モーフレによって設計され、ガラス張りのファサードとアルミニウム要素が交互に配置され、美しさが際立っている。また、突き出した建物の一部が浮いているような印象を強くし、扉を入った途端時間が止まったかのようである。

図書館は、研究所の建物の中心部のパティオ近くにある。広さ1,500平方メートルで約125席と閲覧室がある。上階にある研究室には、光を取り込み、キャンパスや周囲の自然を眺めることができる複数のテラスがある。

◇卓越した数学エッセイのコレクション

建物の建築に加え、この施設が収蔵するコレクションの豊かさも特別なもので、図書館には7万点以上の著作物がある。そのうち800種は定期刊行物、200種は定期購読物であり、教育マニュアルも含まれる。アルキメデス、カール・フリードリッヒ・ガウス、レオンハルト・オイラーの理論を含め著名な数学者の著作物もすべて収蔵されている。

フランスの数学者で後のアカデミー会員ジャン・ピエール・カアネの影響を受け、彼の文献コレクションは主にフランスおよび外国の数学者との交流や寄贈によって充実した。現在までにこの蔵書には翻訳されていない外国語で書かれた数学的著作が多数含まれている。そのコレクションの中には、ソ連圏崩壊前に書かれたロシアの数学者たちの著作物が多数含まれている。また、1930年代の10年間に大きな進歩を遂げた量子物理学に貢献したドイツ数学についてドイツ語で発表された著作物も収蔵されている。また、この文献コレクションには、19世紀末から20世紀始めにかけて活躍し、曲線や曲面の質的性質に焦点を当てることで代数的対象に対する幾何学的かつ直感的なアプローチを発展させたことで知られているイタリア代数学派の数学者たちによる原語の著作も収蔵されている。

◇科学遺産の保存として重要な場所

最後に、「グレー文献」のコレクションがこの収蔵物に加えられる。これらの著作物は、私的な書簡、セミナーのメモ、論文の原稿などで構成されている。ほとんどは科学研究の中心となるテキストなど亡くなった科学者の遺贈によるものである。例えば、1960年代のフランス代数幾何学派の中心人物であった数学者リュック・イリュージーは、自身のアーカイブの大部分を遺贈した。

ジャック・アダマール図書館は、CNRS国立数学図書館ネットワーク、特に印刷された数学雑誌の共有保存計画プロジェクトに深く関わっている。これは、31の図書館間で数学雑誌の印刷コレクションを全国規模で長期保存することを目的としている。

[DW編集局]