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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 科学技術委員会
- 元記事公開日:
- 2025/11/05
- 抄訳記事公開日:
- 2025/12/12
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英国議会上院科学技術委員会、科学技術企業の「成長危機」を警告:経済が“失血状態”に
Report: Bleeding to death: the science and technology growth emergency
- 本文:
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(2025年11月5日付、科学技術委員会の標記発表の概要は以下のとおり)
英国議会の上院科学技術委員会は2025年11月5日、英国の科学技術分野における成長危機とスケールアップの失敗に関する報告書を公表した。
英国経済は、特に科学技術分野において、国家的な成長危機の中で失血状態にあり、政府が必要な抜本的改革を迅速に実行しなければ手遅れとなるリスクが生じている。
英国は国際的に競争力の高い研究基盤を有しているにもかかわらず、国内における企業のスケールアップと新しい科学技術の国内への拡散の両方に失敗している。
スケールアップを求める企業はレイトステージでの資金調達に苦労しており、しばしば、海外、典型的には米国の資金に頼らざるを得ない。このことは有望なスタートアップの海外資本による獲得、または海外流出に対する強いバイアスとなる。
資本不足の原因としては、機関投資家、とりわけ年金基金の投資家たちが分断されリスク回避的であること、英国の資本市場が正常に機能していないこと、公的投資の規模が海外の競争相手に比して小さいこと、政府調達が中小企業を閉め出していること、があげられる。
技術的主権に対する政府の自由放任主義的なアプローチは転換が不可欠である。英国は、有望な科学技術企業や有利な契約が海外、特に米国の投資家に買収されることをあまりにも頻繁に許してきた。これらの企業が英国に留まり成長できるよう育成・支援し、政府・学術界・産業界の制度的基盤にしっかりと根付かせ、国内で事業拡大することを当然の選択肢としなければならない。
成長と富の創出に真剣に取り組む政府であれば、英国への誘致を図る科学者や起業家に高額なビザ障壁を課し続けることも、短期的な財政判断を理由にライフサイエンス産業の衰退を許容することもできないのは明白である。これらの問題が未解決のままである事実は、政府横断的調整のより深刻な機能不全を象徴している。
本報告書は、長年続くスケールアップの失敗を是正するため、以下のとおり幅広い提言を示している。
首相と財務大臣のリーダーシップ:新たに「国家科学技術成長審議会」を発足させ、首相、財務大臣、科学担当国務大臣に加え、科学・イノベーション・技術省、ビジネス・通商省、内務省、国防省、保健・社会保障省、エネルギー安全保障・ネットゼロ省、労働・年金省、教育省の幹部級代表、主要公共投資機関、科学顧問を参加させるべきである。
機関投資家:英国株式への国内年金基金投資比率が90%減少したという衝撃的事実は、経済停滞の大きな理由であるが、その要因は主に政治的であるため、政治的対応により反転可能である。
公共投資機関:Innovate UK、英国ビジネス銀行、ナショナル・ウエルス・ファンド(NWF)のより緊密な連携が不可欠である。これらを一つに統合し、規模拡大により海外の政府系ファンドに対抗し得る組織とすべきという強い主張が存在する。
公共調達:英国における革新的科学技術企業の成長を促す上で極めて重要な手段である。調達をイノベーションの推進力とし、国内サプライチェーンを支援するため、政府は調達能力を強化しなければならない。
人材、ネットワーク、スキル:キャリア構造、給与、インセンティブは、学界・産業界・政府間の円滑な人材移動を可能にする方向へと再設計されるべきであり、各セクターが相互の技能やネットワークに容易にアクセスできる仕組みが必要である。
研究基盤:英国は豊かな科学技術ポテンシャルを持つが、その研究基盤を当然視することは許されない。未解決の高等教育資金危機が現在これを脅かしており、政府は手遅れとなる前に解決しなければならない。
産業戦略の目標を実現するためには、これらの改革に対し、政府全体として緊急かつ継続的かつ協調的な行動が求められる。
[DW編集局]