[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2025/12/01
抄訳記事公開日:
2025/12/23

CNRS、Web of Scienceを脱退へ オープンサイエンス基盤を強化

Le CNRS s’émancipe du Web of Science

本文:

(2025年12月1日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記記事の概要は、以下のとおり)

CNRSは2026年1月1日以降、主要な商業書誌データベースの一つであるクラリベイト・アナリティクス(Clarivate Analytics)の「Web of Science」(WoS)ならびに「Core Collection」「Journal Citation Reports」へのアクセスを停止する。

CNRSは2019年に最初のオープンサイエンス・ロードマップを公表して以降、研究成果の公開と研究者評価の在り方の刷新を積極的に推進してきた。文献計量指標にもとづく定量的評価に対し、CNRSおよび多くの研究機関は定性的評価を重視する立場をとっており、この文脈の中でWoSへのアクセス停止が決定された。これはCNRSのオープンサイエンス政策における重要な段階である。研究評価の原則に沿いながら、定量的書誌指標からの脱却とオープンで透明なデータに基づく代替手段の開発を加速させることを目的としている。

◇定性的な評価のために

インパクトファクターの使用は、科学出版、ひいては研究実践そのものの逸脱を助長してきた。アラン・シュールCNRS科学副局長は、「研究は、出版物に結び付けられた科学的進展の本質とは無関係な指標によって、長らく拘束されてきた。研究者評価のルールを、学術誌の権威や魅力度によって規定することは、科学を過度に単純化する見方であり、もはや容認されるべきではない。研究評価システムの質と倫理を確保するため、即時の行動が必要である」と述べている。

◇オープンデータベースの開発推進

CNRSは2024年にエルゼビア社のScopusデータベースの購読を解約し、今回さらにクラリベイト・アナリティクスの書誌データベースへのアクセス停止を進めた。これにより年間140万ユーロの購読料を節減し、その資金を主としてオープンデータベースの開発など、オープンサイエンス推進のための施策に再分配する。

今後、CNRSの研究者はOpenAlexのようなオープンデータベースの活用を促される。OpenAlexは、英語以外の学術誌に対する可視性が高く、WoSよりも多くの学術誌を収録している。また、WoSは人文・社会科学分野の網羅性が十分ではなく、情報科学や数学といった分野についても代表性に欠けていた。

◇WoSが歴史的に築き上げてきた優位性を覆す

WoSがこれまで占めてきた地位は、長年にわたり公的機関の職員が収録データの品質向上に無償で貢献してきた結果でもある。WoSから離れることは、共通の枠組みにもとづく比較能力を一時的に失うことを意味するが、機関間あるいは個人間の比較は、今後新たな原則にもとづいて再構築される必要がある。

OpenAlexを最大限に活用するには、なお相当量のメタデータのキュレーション作業が求められるが、シュール副局長は、「オープンな書誌データベースの品質向上に注力すべき時期に来ており、CNRSはOpenAlexの改善に積極的に取り組んでいる」と述べている。この基盤は近い将来、研究者の文献調査ニーズを十分に満たすものになると見込まれている。

◇決して単独で解放されるものではない

国際的な科学協力が脆弱化する現在、科学的選択と意思決定における主権を回復し、より透明性の高い判断を行うことが一層重要となっている。シュール副局長は、オープン基盤の共同開発が優先課題であるとし、すべてのパートナーに対し、WoSからの転換を呼びかけている。

[DW編集局]