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- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 科学・イノベーション・技術省(DSIT)
- 元記事公開日:
- 2025/11/28
- 抄訳記事公開日:
- 2026/01/15
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公的研究開発が民間資本投資に及ぼす影響の度合い(概要)
To what extent does public R&D leverage private capital investment? (executive summary)
- 本文:
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(2025年11月28日付、科学・イノベーション・技術省(DSIT)発表の標記報告書の概要は以下のとおり)
研究開発(R&D)への公共投資は、イノベーション、生産性、長期的な経済成長の重要な原動力として広く認識されている。公的R&Dが民間のR&Dに与える影響については十分に文書化されているが、公的R&Dが、民間資本投資、すなわち、インフラ、設備、導入された技術などの物理的資産への投資を促すかどうかというより広範な問題については、まだ十分に検討されていない。
そのため、本調査では英国固有のデータおよび約30年にわたるOECD加盟35か国のデータを用い、より包括的な分析を実施した。
■ 公的R&D投資が民間資本投資に及ぼす影響
本分析は新しい探索的な試みであり、固有の制約と不確実性を伴う点に留意すべきである。したがって、得られた知見は決定的にではなく、示唆的に解釈されるべきである。
パネルデータ分析の主要所見は、民間資本投資の持続性と併せて、公的R&D投資の一時的な増加が短期的・長期的に及ぼす影響を示している。
・短期的影響(英国)
公的R&D費が1%増加すると、同年内に民間資本投資が0.15%~0.20%増加することが示唆される。この即時的反応は、企業が公的R&Dを機会のシグナルと受け止め、速やかに資本投資を拡大することを示唆している。・長期的影響(英国)
10〜16年の累積では、短期効果は概ね2倍になる。初年度の公的R&D費の1%増加は、累積で民間資本投資を0.58%~0.68%押し上げると推計される。モデル上、投資反応は初期に集中的に生じ、効果の大部分は最初の5年に集中し、その後は逓減する。・持続性
長期効果の主要因は、民間資本投資の高い持続性である。前年の投資の65%~77%が当年に引き継がれるため、公的R&Dに対する初期反応は介入した年を越えて企業行動に持続的な影響を与える。この複合効果は、R&D政策の経済的価値を正確に捉えるために動的モデリングを用いる重要性を浮き彫りにする。■ 公的R&D投資と民間資本投資の関係およびその長期的な影響
投資の持続性により、公的R&D投資と民間資本投資の関係は動的であり、時間とともに変化する。公的R&D投資が1%増加すると、民間資本投資はすぐに上昇し、その後その影響は徐々に減衰する。結果から、この反応は初期に集中し、10~16年以内にほぼ収束する。■ 他の先進国との比較
OECD諸国における公的R&D投資が企業投資に及ぼす影響を比較したところ、英国では短期的な影響は0.19と推定され、OECD平均と同水準であり、イタリア(0.16)、スペイン(0.18)、オランダ(0.17)などの国々を上回っている。
しかし、英国の長期的効果は主要経済国より低く、累積効果はOECD平均0.68に対し0.56、ドイツ・日本・米国などでは0.80を超える。■ 外国政府による公的R&Dおよびその他のマクロ経済要因の役割
外国政府が資金提供し海外で実施される公的R&Dが英国の民間資本投資に及ぼすと推定される効果は、統計的に有意であり、その規模は英国の公的R&Dの効果と同等である。この関係性の背後にある正確なメカニズムは依然として不確かであるが、この傾向は英国に特有ではなく、外国の公的R&Dは、大半のOECD諸国において民間資本投資と正の相関関係にある。 [DW編集局]