[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2025/12/09
抄訳記事公開日:
2026/01/22

NASEM、火星有人探査に向けた最優先科学目標と四つの探査キャンペーンを示す報告書を公表

Search for Life Should Be Top Science Priority for First Human Landing on Mars, Says New Report

本文:

(2025年12月9日付、全米科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine: NASEM)の標記発表の概要は以下のとおり)

NASEMは、火星初の有人探査における科学上の優先目標を提示する報告書を発表した。同報告書は火星における現存あるいは過去の生命の証拠の探索を筆頭に、火星環境が人間、植物、動物に与える影響、水循環、地質記録、砂嵐の特性理解など11の目標を挙げている。また、同報告書は科学上の目標を達成するための4種類の探査キャンペーン案を提示している。

▼科学上の優先目標(優先順位の順)
1.生命の探索:現存または過去の生命、火星への居住可能性、固有の生命誕生前の化学物質の痕跡を確認する。
2.水とCO2:火星の水およびCO2循環を特定し進化を理解する。
3.火星地質:地質記録を特定・マッピングし進化を明らかにする。
4.乗組員への影響:生理学的、認知的、情緒的な健康と、チームダイナミクスへの影響を評価する。
5.砂嵐:発生と進化の制御要因を特定する。

6.資源探索:現地資源利用に必要な環境特性を把握し、恒久的な居住に必要な材料を探索する。
7.ゲノムと生殖:火星環境が植物・動物の複数世代にわたる生殖または機能ゲノムに与える影響を評価する。
8.微生物:微生物集団動態や種の分布が安定し、乗組員に有害でないか確認する。
9.火星の塵:人体および装置への影響を評価する。
10.生態系:植物・微生物・動物の統合生態系で火星環境が複数世代にわたり及ぼす影響を評価する。
11.放射線:乗組員居住域とサンプル採取地点の放射線を測定しリスク評価を改善する。

▼4種の探査キャンペーン
・第1:30火星日にわたる有人着陸、無人貨物輸送、300火星日の長期ミッションを含むキャンペーン。特徴的な地形を持つ単一の地点で各ミッションを行い、掘削や気象観測など多様な分析機器を持ち込む必要がある。居住施設での詳細分析や地球に持ち帰ったサンプルの研究も行う。
・第2:共通する測定を最適化するキャンペーン。この場合、着陸地点は幅広く選択可能である。
・第3:生命探索に特化するキャンペーン。液体の水に到達する深部掘削が可能な地点を選定し、コア採取とサンプルの初期分析を行う。サンプルは地球に持ち帰り、詳細に分析する。
・第4:火星各地で短期ミッション3回を実施するキャンペーン。多様な環境で科学上の目標を達成することを狙う。火成岩・衝撃溶融岩地域、堆積岩地域、氷河地域の3種類の地点を選択可能である。

また、報告書はNASAに対し、惑星保護ガイドラインの発展に関する協力の継続、火星表面ラボの設置、全有人ミッションからのサンプルの地球への持ち帰り、火星探査のための人間・ロボット・AIの協働に関するサミットの開催を勧告している。

[DW編集局]