[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2025/12/16
抄訳記事公開日:
2026/01/22

NASEM、DOE向けに基盤モデル活用による科学的発見のパラダイムシフトを提言

NASEM DOE Should Develop AI-Based Foundation Models Fused with Traditional Computational Methods to Bring Paradigm Shift to Scientific Discovery

本文:

(2025年12月16日付、全米科学・工学・医学アカデミー ((National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine: NASEM)の標記発表の概要は以下のとおり)

NASEMは、米国エネルギー省(DOE)の後援を受け、「科学的発見とイノベーションのための基盤モデル(Foundation Models for Scientific Discovery and Innovation)」に関する報告書を公表した。同報告書は、DOEが科学研究において基盤モデルをどのように活用し得るかを検討し、これを従来の計算手法と融合させることで、科学的発見にパラダイムシフトをもたらす可能性があると指摘している。

基盤モデルとは、膨大な量のデータで訓練された大規模AIニューラルネットワークである。これらのモデルは、微調整を経ることで、情報をモデル化する新たな手法を学習し、多様なタスクを遂行できるようになる。この点で、特定の用途に特化して設計される従来の多くのAIツールとは性格を異にする。基盤モデルは、異種かつ大規模なデータを扱えるだけでなく、複数のタスクにまたがる汎用性や「自己教師あり学習(self-supervised learning)」といった特性を備えており、DOEが従来用いてきた計算手法や過去の機械学習モデルの計算・保存能力を桁違いに上回る規模で、データセットから知見を創出し、パターンを識別し得る潜在力を有する。ただし、基盤モデルに関する保証・検証・妥当性確認の強化や、出力に伴う不確実性の定量化には、依然として多くの課題が残されている。

一方、従来の計算手法は、材料物理学や地球システムなど、DOEが対象とする極めて複雑なシステムにおいて予測科学を可能にしてきた、信頼性の高いモデルシミュレーションの基盤を成している。これらのモデルは物理法則に根差し、検証および妥当性確認がなされており、原子力システムの研究など、安全性が厳格に求められる分野において不可欠な特性を備えている。

本報告書は、基盤モデルを従来型モデルの代替と位置付けるのではなく、両者を相乗的に統合することを提唱している。これにより、予測モデリングと解釈的推論との間の隔たりを橋渡しし、研究者が複雑な課題を解決するのみならず、その解を説明可能なモデルの実現に近づくことが期待される。

[DW編集局]