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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 国立科学研究センター(CNRS)
- 元記事公開日:
- 2026/04/07
- 抄訳記事公開日:
- 2026/05/15
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CNRS、ワンヘルス・サミットに合わせ健康・環境統合研究の取組を提示
L'œil du CNRS : la collaboration internationale renforce nos stratégies de santé
- 本文:
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(2026年4月7日付、国立科学研究センター(CNRS)の標記記事の概要は、以下のとおり)
CNRSは、4月5日から7日にかけてリヨンで開催されるワンヘルス・サミットに合わせ、ワンヘルスに関する研究と取り組みを紹介した。ワンヘルス・サミットは、環境の重要な役割を踏まえ、社会全体の健康を強化するため、科学に基づく具体的な勧告の策定を目指すものである。「ワンヘルス」アプローチは、コロナ禍などの感染症拡大や環境危機のリスクに直面する今日では不可欠とみなされており、CNRSはこの考え方にもとづく健康ロードマップを下で社会的インパクトを目指している。
◇「ワンヘルス」とは?
「ワンヘルス」アプローチは、人間、動物、生態系の健康の密接なつながりを踏まえ、人間と環境の双方に資する具体的解決策を重視するものである。ワンヘルス・サミットの主要なテーマは、媒介感染症と人獣共通感染症 (マラリア、デング熱、狂犬病、ニパウイルス感染症など)、抗菌薬耐性、持続可能な食料システム、汚染への曝露である。
◇積極的な学際的取り組み
あらゆる学問分野をカバーするCNRSでは、多くの専門家が、フランスおよび世界各地において汚染の監視、安全な食の確保、抗菌薬耐性への対応、新興人畜共通感染症の監視などに取り組んでいる。
CNRSに集約された知見は公共の意思決定を導いている。CNRSはまた、「2026年健康年」を主導し、幼児教育から高等教育まで若い世代に研究成果を共有している。こうした取組の積み重ねが、社会全体の健康を支えている。
◇社会とともに革新
CNRSは、産業界による汚染削減も支援している。第一段階ではPFASを検出し、第二段階では「フランス製」の植物由来活性炭で浄化し、第三段階で汚染物質の使用を極力避けた製品の開発を進めている。
CNRSはまた、公的機関とも連携している。ストラスブール欧州都市圏とGrand Est地方圏環境局(DREAL Grand Est)との共同事業では、都市河川中のプラスチック片の追跡に取り組んでいる。さらにパリでは、セーヌ川の水中におけるウイルス動態を監視する新たな数理モデルを開発している。
◇未来への備え
「代替案」の構築も必要である。例えば、生物多様性の喪失を食い止め、人の健康を改善するため、農家や養蜂家とともに解決策を検証しているほか、環境により配慮した都市化のあり方も模索している。こうした「自然に基づく」解決策は、CNRSが共同主導する優先研究プログラム・設備(PEPR6)「Solubiod」の中核を成している。
将来は、技術の役割も一段と重要になる。例えばCNRSの「高リスク研究プログラム」では、植物の根を活用して土壌中のパラジウムを除去する技術や、マイクロプラスチックを分解できる工業用フォームの製造プロセスの開発が進められている。
◇国際的な対話
保健医療分野では、国際協力が不可欠である。世界の国々は共通の課題に直面しており、フランスで得られた知見が他国にも示唆を与えている。例えば、微細藻類が呼吸器刺激に及ぼす影響を調べる欧州プロジェクト「UNIVOC」がある。また、新興感染症や生物多様性への脅威の「ホットスポット」は、他地域にとっての先行事例の場となっている。CNRSとカセサート大学が設立したタイの国際共同研究所HealthDeepでは、気候変動などの動態が健康に及ぼす影響を研究するとともに、人材育成、イノベーション、政策決定者との対話を進めている。
CNRSはそのプログラムを通じて多くの国々と協力している。ブラジル、チリ、フランスは、養殖業を脅かす有毒藻類の大量発生という共通課題に対し、機能ゲノミクスやシーケンス解析の知見を持ち寄っている。さらに欧州、アフリカ、米国の研究機関の科学者らは、環境や医療分野のための数理モデル開発にも取り組んでいる。
[DW編集局]