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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
- 元記事公開日:
- 2016/10/31
- 抄訳記事公開日:
- 2016/12/13
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イノベーションのチャンスと限界
- 本文:
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10月31日から二日間にわたりベルリンでITAFORUM(イノベーション・技術分析フォーラム)が開催される。これに関して連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。
テクノロジーアセスメントとは、明日の雇用、失業、賃金に何ををもたらすのであろうか、牛の筋肉幹細胞から作られる「試験管バーガー」に関してどのような倫理的議論がなされるべきか、“Social Bots” はソーシャルメディアにおけるコミュニケーションをどのように変化させるか、社会におけるヒト型ロボットが社会で需要されるのにどのような要素があるのか、などを知ることである。
BMBFは現在、イノベーション・技術分析(ITA)の枠組みの中で25の科学的プロジェクトを助成している。これは、上記のような疑問のほか、イノベーションの実現可能性およびチャンスとリスク等に関する諸問題についても調査研究するものである。これらプロジェクトの中間結果がITAFORUM 2016 において学界、政界、社会の代表者150人により議論される。
シュッテBMBF次官は会議に当たり、「イノベーション・技術分析は研究・イノベーション政策を社会的ニーズへと方向づけるのに役立つものである。しかしその中心となるのは、技術的、社会的イノベーションが長期的にどのように人間に影響するのかという問題である。ITAFORUMの結果は連邦研究技術省のイノベーション政策に取り入れられる」と語った。なお、会議の終わりに25の研究プロジェクトの中間報告からBMBFへの5つの戦略的提案が示された。
ITAFORUMの開幕に当たり、ドイツ倫理評議会議長のダブロック教授は「過剰な楽天主義と悲観主義は、進歩の速度がますます速くなる工学的プロセスと技術的イノベーションの観点からして、いずれも不適切である。両者とも理性的合理性を欠き、自己過大評価、怠惰あるいは不誠実が伴うことが少なくない。これに対しては政治、社会、アカデミアが技術的イノベーションの倫理問題と取り組むことがますます重要になる。こうすることによってのみ、技術に対する必要な信頼を強化することができる」と語った。
ダルムシュタット工科大学のノルトマン教授(科学哲学)は、今後コントロールすることが不可能となるような速度を速めて開発される技術に関して「重要なのは技術の社会的価値を決めることであり、このために学際的な進め方が必要となる。正にこの点が今日の議題の眼目である。ITAFORUMにおける議論は、人間が技術に対し自由であり、技術が何か超越的なものとは映らないという関係を保持できるよう寄与することを期待する。」と語った。
[DW編集局]