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- 国・地域名:
- 中国
- 元記事の言語:
- 中国語
- 公開機関:
- 中国科学報
- 元記事公開日:
- 2016/12/30
- 抄訳記事公開日:
- 2017/02/13
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2016年の中国科学技術分野における注目すべき事項
- 本文:
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2016年12月30日付の「中国科学報」ネット版は、「2016年の中国科学技術分野における注目すべき事項(スポットライト)」と報じた。本記事ではその概要をまとめる。
2016年、中国の科学技術イノベーションの発展は一連の重大なブレークスルーを遂げたと言える。2016年5月、国務院は「国家イノベーション駆動型発展戦略要綱」を公表し、3段階の戦略目標を掲げ、2050年までに世界の科学技術イノベーション強国を目指す。以下、各分野の注目すべき事項である。
科学技術政策改革:
一、国務院は相次いで「『中華人民共和国科学技術成果転化促進法』実施に関する若干の規定」、「国家の科学技術成果転化の促進行動に関する実施法案」を公表し、科学技術成果転化体制メカニズムの促進完備と科学技術の成果転化を積極的に激励促進する方向性に重要な役割を果たした。
二、7月、中共中央弁公庁、国務院弁公庁は「中央財政科学研究プロジェクト資金に対する管理改善に関する若干の意見」を発表し、大学、研究機関の科学研究プロジェクト資金等の管理権限を拡大した。ビッグサイエンス:
一、4月、中国初の帰還型微小重力科学実験衛星「実践十号」が、長征2号丁ロケットによって成功に打ち上げられた。
二、6月、中国が開発したスパコン「神威太湖之光(Sunway TaihuLight)」が、スーパーコンピューターの計算速度を競う世界ランキング「TOP500」 にて、世界1位を獲得した。
三、8月、中国は「長征二号」ロケットを使い、中国科学院が自主開発した世界初の量子科学実験衛星「墨子号」を打ち上げた。
四、9月、500メートル口径球形電波望遠鏡(FAST)の建設が完了し、世界最大口径の望遠鏡となった。
五、10月〜11月、中国の宇宙船「神舟11号」、宇宙実験室「天宮2号」とのドッキングに成功、中国の宇宙飛行士景海鵬、陳冬氏が中国の宇宙探査任務の最長記録を樹立し、宇宙ステーションの建設と宇宙飛行士の長期駐留に堅固な基礎を打ち立てた。
六、12月、中国初の炭素衛星の打ち上げに成功した。
七、中国が独自に開発した北斗衛星測位システムが世界展開に向けて初期のレベルで構築された。
八、中国が独自開発した自動制御潜水器(ARV)「海斗号」は10767メートルの最大潜水作業水深記録を樹立した。基礎研究:
一、中国科学院微生物研究所の厳景華研究員と高福院士が率いるチームがジカウイルスNSI構造の研究により、生ウイルスワクチン開発及び薬物開発の新たな方法を提出した。
二、上海超強超短レーザー実験装置SULFにより、世界最大レーザーパルスのピークパワーを実現した。
三、合肥定常状態強磁場装置ハイブリッドマグネット(hybrid magnet)は40万ガウス(Gaussian)定常状態磁場を実現し、同能力を具備する世界二番目の国家となった。
四、中国科学院物理化学研究所の劉静チームが始めて液体金属の「走る」、「跳ねる」、「前進」等の特性を発現させた。今後、柔軟なロボット開発の基礎材料の提供が期待できる。ハイテク分野:
一、中国石油工程技術研究院が国内初の制御圧掘削応用加工装置を自主開発し、国産化を実現した。
二、9月、香港、珠海、マカオを橋梁、人工島、海底トンネルによって結ぶ全長55キロの世界最長の海上橋が正式に貫通した。
三、中国チップメーカーである中芯国際集成電路制造有限公司(SMIC)が国産設備利用率を高めた。
四、その他、高圧柔軟性直流送電技術、新エネルギー車の普及・応用、ロボット産業、3Dプリント、国産掘削装備技術等が世界の先頭に躍進した。大衆創業・万衆創新:
中国で「衆創空間」が急増し、科学技術部に登録した「衆創空間」の数は1337カ所に達し、「大衆創業、万衆創新」(大衆の起業とイノベーションの促進)意欲が高まり、イノベーション、創業と産業の結合がますます緊密となっている。 [JST北京事務所]