[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国家科学技術会議(NSTC)
元記事公開日:
2013/11/01
抄訳記事公開日:
2013/11/29

NSTCレポート:生体反応および回復のための科学技術に関するロードマップ

BIOLOGICAL RESPONSE AND RECOVERY SCIENCE AND TECHNOLOGY ROADMAP

本文:

ホワイトハウスと国家科学技術会議(National Science and Technology Council; NSTC)は10月、生物化学被害への対応と回復に関する科学技術ロードマップを発表した。生物化学被害は国民の健康のみならず、動植物、環境、経済に多大な影響を与える。それらの被害に対する対応や回復過程においては長期的なデータの回収や、証拠に基づくレビュー、政策決定などが必要とされ、公衆衛生・法執行機関・廃棄物管理・インフラ管理・交通などに関わる省庁間や関係機関との協力が不可欠である。

当該ロードマップで示された戦略的目標や基本方針は、連邦政府が行っている科学技術の取り組みを被害への対応・回復過程の意思決定に反映させることを目的としている。報告書でまとめられた概要は次の通り。
・現時点で把握されている科学的知識の欠落部分の分類
・その欠落部分を埋めるために必要な技術の特定
・生物化学被害時及び回復時における的確な判断と政策決定を行うために必要な研究分野の優先付け

また、各省庁が研究開発を行う際、協調できるように短期的・長期的目標をロードマップとして掲げている。初期の短期的目標は次の通りであり、主に生物化学被害が発生した直後及び回復過程において行われる重要な政策決定の際に必要な科学技術を挙げている。

・環境中の生物学的作用物質の特定
・生物剤が広範囲に散布された場合の生物、環境におけるリスク予測方法の開発
・様々な感染経路や接触を通じ、人や動植物が受けるリスク予測方法の開発
・様々な事故シナリオに備え、除染、廃棄物管理、汚染源管理、再エアロゾル化などを含めたリスク軽減策の構築
・国民への被害を軽減させる措置(検疫、隔離、社会距離戦略など)の評価と、これらを実施するための科学的根拠の開発
・リスクコミュニケーションとして、政策決定者、初期対応者、国民、メディアに対する適切な情報発信方法の開発

他方、次の5つ長期的目標では、短期的な科学技術開発を前提とし、長期的に実現すべき状態を示している。
ゴール1:人命救助と被害拡大を防止するため、事故の規模を特定
ゴール2:生物化学的被害の影響を軽減するため、効果的なコミュニケーションを実施
ゴール3:曝露のリスクと感染のリスクを的確に分析
ゴール4:曝露・感染のリスクを軽減
ゴール5:大惨事後の生物廃棄物の管理

生物化学被害発生後は、不確定な要素が多い中で速やかな対応が必要とされる。当該ロードマップでは、政策決定を阻害している情報や技術の欠如を明確にし、それらを埋めるための目標を提示した。今後も連邦政府や関係省庁、研究機関、産業界、海外パートナーとの協力とそれらへの投資が不可欠となることが強調されている。

[DW編集局]