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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- フラウンホーファー協会(FhG)
- 元記事公開日:
- 2013/11/07
- 抄訳記事公開日:
- 2013/12/05
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ドイツにおける研究:科学政策のための10項目提言
Forschen in Deutschland: Zehn Empfehlungen für die Wissenschaftspolitik
- 本文:
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フラウンホーファー応用研究促進協会(FhG)の専門家たちは、グローバルな重要課題に関して、その解決策を探求し答えを探している。このほど研究開発のための基本条件を改善するため、科学政策に関する10項目の提言を作成した。これに関してFhGは概略以下のような報道発表を行った。
研究と開発は、ドイツの経済力・富の繁栄・生活の質にとって需要な基礎となる。FhGのノイゲバウアー会長は、「最高水準の研究開発と、具体的なサービスや製品への効率的な技術移転によってのみ、未来の大きな重要課題に対する解決策を考案できる。多くの課題に対して、備えを固めていかなければならない。ますます激化する国際競争の中で、人口変動の結果起こりうる問題や、経済危機を克服することなどである。我々の目標は、ドイツのイノベーション力を向上させ、繁栄を確保することである。ドイツと欧州の科学を取り巻く基本条件に関する最近の議論を踏まえ、科学政策のための10項目の提言を作成した」と語った。
■ 研究開発投資: GDPの3.5%
新しいアイデアや発明のために重要なのは、研究開発の財政的基盤である。現在、ドイツは欧州で最大のイノベーション力を持つ国の一つとなっており、これまでの研究・イノベーション政策の成果であるといえる。既に研究開発支出をGDPの約3%まで引き上げることに成功している。これはドイツを経済の拠点として、労働市場として強くすることになった。国際的にトップの位置に留まるためには、さらにこの割合を引き上げなければならない。投資を増やし、研究開発費を2020年までにGDP比3.5% にするという、大胆な目標に向かって努力することをFhGは推奨する。■ 改善:研究及び開発のための計画に関する確実性
FhGは「フラウンホーファー・モデル」によって、ドイツ国内の他の研究機関と比べて機関助成の割合が小さい。同モデルは、研究予算総額の1/3が機関助成、残りの2/3が公的なプロジェクトおよび企業からの委託研究費という比率になっており、委託研究費の割合に応じて機関助成金が増える仕組みのことである。FhGの研究者たちは、このような形で実際には1ユーロの機関助成金から3ユーロの予算を生み出している。こうして研究拠点としてのドイツに貢献している。
2005年に連邦政府と州政府が合意した研究・イノベーション協定おいて、政府はドイツの研究機関を助成し、その研究計画が確実に実行されることを保証している。これに対し研究機関は、それぞれの研究開発活動の、質、効率、能力を向上させる義務を負っている。同協定は、今後も少なくとも年5%引き上げられるべきものと、FhGは提案する。なぜなら科学的知識、ハイテク設備投資、トップ人材を巡るグローバルな競争は、今後一層先鋭化するからである。また助成については、研究成果に基づいて実施すべきである。(現行の第2次 研究・イノベーション協定は2015年で満了予定)■ 設立:パフォーマンス・センター
ノイゲバウアーFhG会長は「これまで以上に、FhGの各科学拠点を国レベルのパフォーマンス・センターに拡大すべく努力していきたい。これらのセンターは、国際的な存在感、明確な研究分野、優れた研究と教育、地域における経済活動の統合などにの面で特徴的である」と言明。フライブルクに造られる初のパフォーマンス・センターは、「欧州持続性研究センター」として設立されることになる。同センター内の5つのフラウンホーファー研究所は、高効率なエネルギーと資源の利用、再生可能で信頼性高いエネルギーの持続的供給と貯蔵のためのシステム解決、さらに強度に優れるインフラに関する技術研究を、大学や民間企業をパートナーとして共に取り組んでいく。同会長は「FhGでは、全ての研究所長が大学の教授ポスト兼任である。こうした協力体制をベースに、若い次世代の科学者や、確固とした位置づけにあるトップ研究者、革新的な起業家、伝統豊かな企業に対し、やる気を起こさせるため、共に努力していかなければならない。エアランゲン=ニュルンベルクなど、その他複数の地域で、今後同様なパフォーマンス・センターがスタートする」と語った。10項目の提案については以下のリンク参照(ドイツ語)
http://www.fraunhofer.de/de/ueber-fraunhofer/wissenschaftspolitik/herausforderungen.html
1. 研究開発投資をGDP比3.5%に
2. 研究・イノベーション協定を継続する
3. 研究開発を税制的に助成
4. ドイツの科学システムの競争力及び多様性の維持
5. 大学外研究機関と共に大学を強化する
6. 大学および経済界と協業でパフォーマンス・センターを確立
7. ドイツ科学技術基本政策「ハイテク戦略」の更なる展開
8. ドイツ参画による欧州研究圏の更なる発展
9. 国際化の拡大と基本的条件の強化
10. MINT(数学、IT、自然科学、工学)資格の助成 [DW編集局]