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- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 原子力・代替エネルギー庁(CEA)
- 元記事公開日:
- 2017/01/30
- 抄訳記事公開日:
- 2017/03/16
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原子炉の安全性に特化した日仏実験の成功
Post-Fukushima : succès d’une expérience franco-japonaise dédiée à la sûreté des réacteurs
- 本文:
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原子力・代替エネルギー庁(CEA)の2017年1月30日付標記報道発表の概要は以下のとおり。
福島の原発事故で事故を起こした原子炉の1つで溶融した材料間の相互作用を実験室で再構成する目的で、CEAは日本原子力研究開発機構(JAEA)のチームと協力して、2017年1月19日にカダラッシュにおける実験を成功裏に実施した。
JAEAによる考察に資するべく実施されたこの実験の目的は、福島第一原発の原子炉内の組成物に成分が似たコリウム(核燃料が他の成分と混合して、過熱により溶融マグマに転換されたもの)を得て、それによる炉底のラフトを模したコンクリートの切除を行う能力を観察・測定することであった。実際のコリウムは放射能を含むため超高温状態にある。今回の実験では非放射性物質が使用され、そのためにCEAの技術者らは、実験が現実のひな型になるように強力な電磁誘導による加熱システムを開発・使用した。
JAEAの技術者・研究者は長期にわたってCEAのチームと共同で作業している。福島の事故以降、特に重大事故に関する専門能力を有するカダラッシュの実験室などで、この協力が強化されている。この実験室は世界でも独特の研究施設”PLINIUS”を有することで、長年に亘り有意義な専門能力を開発してきている。コリウムの挙動に関する研究で欧州の基準となっているこのプラットフォームは、3000℃程度の高温を維持した”prototypique”と呼ぶコリウム80㎏の塊を使用した実験を可能にしている。したがって実験はこのコリウムを多様な材料(金属、酸化物、コンクリート、耐火物)や多様な流体(特に水)と相互作用させることにある。この相互作用の間、現象の進展を追跡するのに必要な適切な手段を備えることが極めて重要である。
コリウムの冷却・固体化後は、今回の実験では試料採取操作、採取した試料の力学的試験・解析などのサンプリング試験が続行される。今回の実験結果は日本側パートナーによるコリウムの回収・切断・処理の為のシステム開発に役立てられ、日本はそのようなシステムを福島第一原子炉の廃炉のために使用できるであろう。
[DW編集局+JSTパリ事務所]