2017年3月16日付の欧州委員会（EC）研究・イノベーション総局による標記に関する発表記事の概要は以下の通りである。

欧州委員会が本日発表した報告書によると、研究・イノベーション（R＆I）に向けられた公的資金は、民間の研究開発活動と経済全体の成長を促進する触媒として働いている。既存の実証的文献をレビューするこの研究は、今日の急速に変化し、よりリスクの高いイノベーション環境を踏まえると、公共R＆I資金の役割が特に重要であることを強調している。

カルロス・モエダス研究・科学・イノベーション欧州委員は、「この研究は、R＆Iにおける公共投資の重要性を再度実証している。そのような投資は、優れた研究を促進するために必要であり、しばしばデジタル化によって引き起こされるが、急激に市場を生み出すようなイノベーションの形成を手助けする。」と述べた。

欧州委員会は、マルタのセントジュリアンで開催されたERAイノベーション委員会（European Research Area and Innovation Committee：ERAC）の会議でこの調査を発表した。報告書は、ジャック・デロール研究所の名誉所長であるパスカル・ラミー氏が議長を務めるハイレベル専門家グループに提出され、この専門家グループがEUによるR＆I投資のインパクトを最大限にする方法について欧州委員会に勧告する。

この調査によると、ヨーロッパの経済成長の約3分の2はイノベーションにまで遡ることができる。また、民間のR＆I投資による典型的なリターンは10％から30％の範囲にわたると推計している。他の企業がこれらの投資から利益を得ることができるプラスの波及効果のおかげで、これらのリターンは経済全般にとって2倍または3倍大きくなることがありうる。

公的R＆I投資は、新しい知識を生み出し、普及させるのに役立つ。また、新しいスキルの開発やより強力な知識フローを可能にするネットワークの構築にも貢献する。全体として、公的研究開発投資のリターンは約20％と推計され、EUがファンディングしたR＆Iの収益率はさらに高いと評価されている。

しかし、公的R＆I資金が最大のインパクトを発揮するためにはイノベーションの全サイクルをカバーすべきである。すなわち基礎研究から市場を創造するイノベーションまで、つまり市場を完全に改革するソリューションまたは製品までカバーする必要がある。

[DW編集局]