[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2017/08/04
抄訳記事公開日:
2017/09/15

石油に代わりバイオマス

Biomasse statt Erdöl

本文:

新たな助成プログラム「技術イニシアチブ-バイオリファイナリー」がスタートすることとなり、連邦教育研究省(BMBF)はこれについて概略下記のような報道発表を行った。

BMBFはバイオリファイナリーの大きなポテンシャルをこれまでよりさらに大きく利用できるようにするために、新規プログラムをスタートさせ、最大1,500万ユーロを投入する。バイオリファイナリーはバイオマスを有用な中間製品および化学原料に変化させるもので、製品のためのバイオベースの原料となる。従来のリファイナリーとは異なり石油を用いず、有機物から発生したな原料を用いる。

プログラムの目標はバイオリファイナリーのための革新的プロセス技術的なソリューションや手法を開発し、相互に組み合わせることにある。スマートな技術的ソリューションは、特に生物をベースとした原料および残留物のみをできる限り利用するという視点で求められるものである。これに関して連邦政府は食糧生産を常に優先とすることを原則としており、バイオマスが食糧として利用できない場合に限り、原料、製品あるいはエネルギーに加工できるものとしている。

ヴァンカ大臣は「生物をベースとした製品は自然、環境、気候を保護し、化石燃料の供給者からの独立をもたらすものである。バイオリファイナリーは将来の生物を基礎とした経済のイノベーション推進役を担い、成長と雇用の大きなチャンスを約束するものである」と語った。

バイオリファイナリーの特徴はいわゆるコンバージョン(変換)にある。コンバージョンでは複雑かつ大きな分子が小さな成分に分解され、それが基礎化学物質として広く利用される。例えばリグニンおよびセルローズは木に含まれる物質であり、また製紙産業の廃棄物にも含まれる。バイオリファイナリーではこれらは糖およびフェノールへと分解され、加工用基礎物質として利用される。適切な科学的、技術的な基礎をもった開発が行われるならば、「未来のバイオリファイナリー」によって経済的に競争力のある製品の市場化がなされると期待されている。

「技術イニシアチブ-バイオリファイナリー」は「国家研究戦略バイオエコノミー 2030」に組み込まれている。既に2009年9月に連邦閣議は「再生可能資源の利用に関する連邦政府の行動計画」を決定している。これに続き産業界、アカデミア、連邦各省の代表者が「バイオリファイナリー・ロードマップ」を作成。これに伴い連邦政府は2012年バイオリファイナリー・コンセプトの開発・実施に関する基盤を提示した。また連邦政府の中立的諮問機関であるドイツ・バイオエコノミー評議会も2016年「ナショナル・バイオエコノミー研究戦略」の展開に関する勧告においてバイオリファイナリーの大きなポテンシャルについて指摘している。

バイオエコノミーは自然の原料サイクルをベースとした経済形態であり、増大する世界人口に食料、高信頼製品あるいはエネルギー供給のチャンスをもたらすものである。再生可能資源はバイオエコノミーの基盤である。

[DW編集局]