[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
環境保護庁(EPA)
元記事公開日:
2017/10/10
抄訳記事公開日:
2017/11/21

米国環境保護庁(EPA)が「クリーンパワープラン」の廃止を提案

EPA Takes Another Step To Advance President Trump’s America First Strategy, Proposes Repeal Of “Clean Power Plan”

本文:

10月10日付の米国環境保護庁(EPA)による標記記事の概要は次のとおりである。

本日、EPAのスコット・プルーイット長官は規則制定案告示(NPRM)を出し、クリーンパワープラン(Clean Power Plan, CPP)の廃止を提案した。CPPを審査した結果、EPAは、オバマ時代の規制はEPAの法定権限を上回るものであると決定づけた。CPPを廃止すれば、米国のエネルギー源の開発が容易となり、これらのエネルギー源を開発するのに重荷となっている不要な規制を軽減することになり、エネルギー自給に関する大統領令の原則に沿うことになるとの結論に至った。

EPAプルーイット長官は次のように述べた。「オバマ政権はCPPに関し、強く政権の権限を押し通したが、最高裁判所は、規制の執行延期を命じた。これは米国民に対し破滅的な効果をもたらすことを避けるための歴史的な措置であり、この件はまだ裁判の途中である。EPAはオバマ政権の間違いを、その時代に作られた規制を白紙に戻すことにより、正さなければならない。代替となる規制は注意深く、適切に、謙虚に、規制の影響を受ける人々の意見を聞いて、制定されなければならない。」

廃止案は次のことを含む。
1.前置き:ここでは廃止案の法的解釈、政策意味合い、経済効果を述べている
2.規制影響分析:深く掘り下げた費用効果についての専門的分析

CPP廃止は2030年には最大330億ドルの節約をもたらす。

廃止案はオバマ政権の費用便益分析を行い、同時に廃止案の環境、健康、経済的効果の分析を行っている。トランプ政権は廃止が実現すれば、2030年には最大330億ドルの節約になると予測している。前政権のこのような費用見積りと分析は、多くの面において、非常に不確実で議論を招くようなものであった。その詳細は次のようである。
・国内対世界の気候便益
前政権は米国で発生する費用と世界規模の気候便益の試算を比較したが、その便益を測る経済的手法が正しくなかった。

・非グリーンハウスガス汚染物質からの「相乗便益」
オバマ政権は電力発電所から排出されるその他の汚染物質の削減に過剰に力を注いだ。CPPの真の純コストを隠し、規制の意図とは何の関係もない汚染物質を削減する便益を主張した。

・エネルギー費用と貯蓄会計
オバマ政権は、削減できたコストとして、政権が作った規制の「エネルギー効率」にこだわった。結果として、エネルギー費用は、この効率を便益と考える場合よりも低い見積もりとなった。オバマ政権が、行政管理予算局(OMB)が長年使っている必須条件、会計コスト、貯蓄、を使っていたら、CPPにかかる総額はもっと正確に計算されていたと思われる。

この廃止案と付随する専門的な書面の中で、現政権は健全で、オープンで、透明性のあるやり方で、米国民に対し、分析シナリオを広範囲に説明している。この廃止案に対するパブリックコメントを進めながら、EPAは分析を継続し、必要に応じ国民に開示し、新しい案や情報についてフィードバックを得ていく。CPP廃止案の最終版にはこのプロセスの結果も載せられる。

次に来るのは、法案の規則制定事前告知(ANPRM)である。これにより、トランプ政権は、いかにして環境を保護するかについて透明性を再確認することになる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]