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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 米国科学振興協会(AAAS)
- 元記事公開日:
- 2017/10/16
- 抄訳記事公開日:
- 2017/12/04
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産業界は連邦研究開発予算の削減の穴埋めすることができるか
New Brief: Could Industry Fill The Gaps Following Federal R&D Cuts?
- 本文:
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10月16日付けのAAAS(米国科学振興協会)による標記記事の概要は以下のとおりである。
トランプ政権の予算策定の中核となっている方針は、多くの技術分野で連邦研究開発費を削減すべきであるというものである。この帰結として、研究とイノベーションの推進については民間部門への依存度が高まることになる。 2018年度の予算案で提案された削減は前例がないものであるが、それはまた、技術開発における連邦の役割や公的研究と民間研究の間の相互作用に関する長い議論の再燃でもある。
AAASは最新のブリーフィングで、もし米国政府が技術開発研究から退くのであれば、産業界にその肩代わりを期待できるか、という根源的な問いに関して論じている。多くの市場および技術分野で、その答えが「No」となると確信できる理由がある。その理由は以下のとおりである。
1.産業界は米国の主要なイノベーターであるが、そのイノベーションの多くは破壊的なものではなく斬新的である傾向がある。過度な一般化は危険だが、産業界は、リスク、不確実性、投資収益率の理由から、短期的研究と後期開発に集中する傾向がある。
2. もし上記が真実であれば、リスクの高い公共研究開発の減少が、それに対応する民間部門の研究開発の増加をもたらすと期待できるのか? そうではないことを示唆する歴史的事例研究が一つある。1980年代初めの連邦のエネルギー研究開発活動の削減についての事例である。連邦政府が研究開発費を削減すると、特に先進的なエネルギー技術分野では、産業界の研究開発費が減少したのである。
3. 政府の研究開発投資は、産業の基礎、補完、触媒として役立つ場合がある。政府の研究開発投資の増加は、民間の研究開発費を押し出すのではなく、民間による追加の研究開発投資のインセンティブをもたらすという証拠がある。政府の支援がなければ、なかったような研究開発プロジェクトを発足させたり、また、規模が小さかったり、開発速度が遅かったであろうプロジェクトを、拡大させたり、加速させたりする場合がある。通常、イノベーション・プロセスにおける政府と産業界の役割は、代替できるものではない。
4. イノベーションシステムのこれらの特性を考慮すると、公的研究開発投資の減少は、総計での研究開発投資の減少を意味する。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]