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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
- 元記事公開日:
- 2018/05/22
- 抄訳記事公開日:
- 2018/06/25
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耐性病原菌に対するグローバルな戦い
- 本文:
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国際薬剤耐性研究開発ハブ(AMR R&D Hub)がスタートすることになり、連邦教育研究省(BMBF)はこれに関して概略下記のような報道発表を行った。
BMBFは新しいイニシアチブによって国際的なパートナーと共同で、抗生物質が効かなくなった病原菌、抗菌剤耐性(AMR)の研究を前進させていく。5月22日のジュネーブにおける世界保健機関(WHO)の会議においてAMR R&D Hub(Global Antimicrobial Resistance Research and Development Hub)のスタートにゴーサインが出された。
カルリチェクBMBF大臣談:「感染症に対する新薬、抗生物質は、世界中で人間の健康を守り、生命を救うために緊急に必要とされている。耐性病原菌に対する新しい治療方法、診断方法、予防措置を開発するために様々なリソースをより有効に活用しなければならない。抗菌剤耐性に関する国レベルおよび国際レベルの研究を増やし、より有効に連携させていく」。
連邦政府がAMR R&D Hubの立ち上げを主導した。G20は、ドイツが議長国であった2017年夏、耐性病原菌との戦いにおける世界レベルでの連携強化を決議した。その後BMBFはGlobal AMR R&D Hubを発足させ、その展開を統括した。Global AMR R&D Hubの事務局は当面ベルリンのドイツ感染症研究センターに置かれる。現在はロシア、中国、米国、フランス、Bill and Melinda Gates Foundation(米)、 Wellcome Trust (英)、欧州委員会を含む18のメンバーにより構成されている。
ここ数十年、抗生物質の不適切な使用によって、耐性を持つバクテリアが増加している。WHOの推定によると、欧州たけでも年間約2万5,000人が耐性菌による感染症で死亡している。
しかしながら新しい耐性菌に有効な抗生物質の開発は多大な時間を要するもので、また医薬品産業にとってあまり企業的に魅力があるものではない。その結果、ここ約30年の間に革新的な抗生物質は市場に現れていない。現在のところ画期的な新開発がされている兆候もない。従って、抗菌剤耐性に対する戦いにおいて公的な研究助成が特に重要である。「我々は必要な研究が速やかになされること、特に高い経済的利益が展望できない領域における研究がなされることを確保しなければならない。このためBMBFは今後10年間に抗菌剤耐性の研究に最大5億ユーロを投入し、支援していく」とカルリチェク大臣は語った。
[DW編集局]