[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2018/05/18
抄訳記事公開日:
2018/07/23

下院予算委員会での気候・環境研究関係予算の審議結果

This Week in Appropriations: Mixed Bag for Climate & Environment Research in House

本文:

5月18日付、米国科学振興協会(AAAS)の標記記事の概要は次のとおりである。

下院予算委員会では、今週も引き続き、米国航空宇宙局(NASA)、環境保護庁(EPA)、内務省、エネルギー省(DOE)、その他の省庁の法案審議を着実に進めており、いくつかの省庁での予算増加の詳細が報告されている。以下に表すパーセント数は全て前年度比。

1. 気候・環境研究予算:NASA地球科学と米国地質調査所(USGS)は最悪の状態を逃れ、海洋大気局(NOAA)とEPAは削減

気候・環境研究関連法案(内務省法案と商務・法務・科学法案)は入り混じった結果となった。相当の削減となったプログラムもあるが、ほとんどのプログラムは、現政権が要求していたレベルより低くはならなかった。

NASA地球科学:1.1%削減
NOAA気候変動研究:37.6%の大幅削減
EPA科学技術:8.9%削減
USGS: 1.6%増加
米国林野局(U.S. Forest Service): 2018年度予算並み

2. NASA予算:天文物理、宇宙技術で大幅増加

天文物理:21%の大幅増。
太陽系物理学:全般的に昨年並み、ただしジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は要求通りの額
NASA航空学の中で低音響実験機:要求通りの8,830万ドル
人間研究プログラム(Human Research Program:宇宙飛行士がミッションを遂行するにあたっての健康管理に関するプログラム):1,000万ドル増加

3. エネルギー予算:核融合、コンピューティング、先端原子炉、石炭技術が増加

エネルギー省(DOE)科学局は5.4%というこれまでにない増加で過去最高の66億ドルとなる。
先端コンピューティング:12.9%増加
核融合研究:10.9%増加 (国際核融合プロジェクト:ITERには33.6%増)
大深度地下ニュートリノ実験:2倍の予算で計1億7,500万ドル

DOE技術部門では以下のとおり。
先端石炭研究開発:44.6%の大幅増
先端原子炉研究開発:56%、すなわち1億3,300万ドルの大幅増
新設のグリッド・サイバーセキュリティ局:要求額に5,000万ドルの上乗せ
クリーン・エネルギ―製造研究所と重要物質イノベーションハブは廃止を免れたが、再生可能エネルギー効率化プログラムは削減で、バイオエネルギーは7.5%削減、太陽エネルギー研究開発は21.8%の削減。

4. 農業関連予算:競争的資金、キャパシティ・ファンドは大幅増

国立生物・農業防衛施設(NBAF)の管轄:国土安全保障省(DHS)から農務省(USDA)への移行に合意
農業食料研究イニシアチブ(AFRI):要求額より4,000万ドル増加(前年比3.8%増)
国立食料・農業研究所(NIFA):2つのキャパシティプログラムに対し異例の6%増

5. 米国立科学財団(NSF)、運輸省予算

NSF:
3隻の地域研究用船舶建設予算に追加予算措置
大型総観望遠鏡(LSST)は要求額の4,880万ドルに7,500万ドルの上乗せ;ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡は要求通りの1,610万ドル
天文科学施設は2018年レベルを確保

運輸省:
鉄道研究開発と連邦航空局(FAA)のNextGenプログラム(航空輸送システムの近代化)は政権による削減を免れた。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]