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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
- 元記事公開日:
- 2019/01/08
- 抄訳記事公開日:
- 2019/03/19
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森林の健康を守るためのバイオテクノロジーの可能性と課題
- 本文:
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2019年1月8日付けの全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記記事の概要は以下のとおりである。
「バイオテクノロジーは、気候変動と世界的な貿易や旅行の拡大によって増加すると予測されている害虫や病気の発生から、森林の木を守るための解決策の一部となる可能性がある。しかし、樹木の遺伝学、森林の脅威を緩和するバイオテクノロジーの有効性、そして生態系への影響についての基本的な理解を深めるためには、相当な投資が必要である。」とNASEMの新しい報告書「森林の健康とバイオテクノロジー:可能性と考察」は述べている。
この報告書はまた、人々をこの問題に引き込むために、丁寧で、議論を尽くし、透明性を保ち、そして包括的なプロセスを確立する必要性を強調している。それにより、森林の健康への脅威に対する国民の理解を深めるとともに、意思決定にあたりバイオテクノロジーやその他の介入に関する一般の見解を理解することが可能になる。
バイオテクノロジーは害虫抵抗性の形質を導入することによって北米の森林への脅威を軽減するのを助ける可能性があるが、一方で、このアプローチの実行に伴う課題に対応するための研究が必要であると、同報告書は述べている。耐性を達成するために必要な遺伝的変化は、しばしば識別するのが容易ではないとともに、その変化を起こさせることが難しい。さらに、森林への脅威を軽減する上でのバイオテクノロジーの有効性は、多くの面で評価される必要がある。耐性形質が樹種をどれだけ効果的に保護するかを評価することに加えて、改変された樹木の多様な実環境における生存能力や他の種に対する影響について試験を行う必要がある。
社会的影響は影響に対する総合評価の中でも重要な部分を形成するべきであり、影響を受ける可能性が高い人々の見方を考慮に入れるべきである、と報告書は強調している。アンケート調査やタウンミーティング、その他の手段を通じて、多様な視点、価値、そして知識の源を意思決定に反映させるべきである。さらに、森林の持つ本質的な価値、つまり森林が森林自身のために持っている価値を説明するためには、追加の枠組みが必要である。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]