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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 米国科学振興協会(AAAS)
- 元記事公開日:
- 2014/04/09
- 抄訳記事公開日:
- 2014/06/02
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機会・成長・安全イニシアティブ(OGSI)の内訳
The President’s Opportunity, Growth, and Security Initiative: What’s In It?
- 本文:
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AAASは4月9日、オバマ大統領が発表した「機会・成長・安全イニシアティブ(OGSI)」の内容を分析した。本記事では、その概要をまとめる。
2013年12月に、議会は1兆140億ドルの裁量予算上限に合意した。これは、財政管理法に基づく支出削減の4分の3を実現することを、また、裁量経費の増額可能枠がインフレ調整のための微増に対応する分のみになったことを意味する。1年前と異なり、本年度は財政管理法に従った裁量予算案が示されている。最重要項目となるのは「基礎予算」と呼ばれるもので、この部分は裁量予算上限内に収まっている。他方、大統領はOGSI枠として560億ドルの予算を別枠で用意した。そのうち、R&Dには53億ドルが用意されている。結果的に、全体の予算を1兆650億ドルまで引き上げることになる(政権はさらに裁量予算から40億ドルを義務的経費に移すことを検討している)。つまり、裁量予算上限によって本来ならば予算が0.2%の微増にとどまるものの、OGSIを投入することでそれを5.2%増まで拡大することになる。予算管理法により支出上限が強制削減前と比較して720億ドル減(6.6%減)であるはずのところ、OGSIを追加し(予算を再編成することで)200億ドル減(1.9%減)に抑えることができる。
OGSIのよる予算の追加投入はR&D機関に多大な影響を与える。インフレ相当にも満たない微増しか望めなかったところが、R&D予算は1418億ドル、4.5%増となると見込まれる。主要な機関ごとの予算の使い道は以下の通り:
国立衛生研究所(NIH)はOGSIから9億7000万ドルの追加予算を受ける。うち、プロジェクト・グラントに2億8000万ドル、アルツハイマーの研究とBRAINイニシアティブ(既に基礎予算から配分したものに追加する)に1億ドル、ビッグデータに9000万ドル、次世代医薬品開発促進のため業界とパートナシップを結ぶ予算として5000万ドル、ワクチン開発に1億2500万ドルを充てる。
航空宇宙局(NASA)は8億8600万ドルの追加予算を受けることで、2014年度比4%増の予算となる。配分は次の通り:
• 科学局内のうち、予算のほとんどはカーボン、気候、エコシステムのモニタリングと関連するデータ研究に費やされる。他の分野としては惑星科学、原子力電源システム、広域赤外線望遠鏡などに充てられる。
• その他、商業乗員プログラムが最も恩恵をうけることになっており、Orion vehicleとシャトル打ち上げシステムも追加予算を受ける。国立科学財団(NSF)は5億5,200万ドルの追加予算を受け取る。これにより、1,000の追加的なグラントを提供する予定である。その際の優先分野は、神経科学、サイバーセキュリティ、クリーンエネルギー、気候変動、サイバー活用材料(Cyber-Enabled Materials)、製造、スマートシステムイニシアチブ(CEMMSS)、NSF研究トレイニーシップ、である。
国立標準技術研究所(NIST)では、24億ドルを追加的に受け取り、その全てが全米製造イノベーションネットワーク(NNMI)に配分される。NMMIとは、産業界主導型のイノベーション拠点である。9つの拠点が既に設立されたかあるいはNISTの基礎的予算で設立されるのに対し、それ以外の36の拠点が、OGSIによる予算で設立される。
国防総省(DOD)は、追加的に21億ドルを受け取る。しかし、それ以上のことはほとんど明らかになっていない。
[DW編集局]