[本文]

国・地域名:
ロシア
元記事の言語:
英語
公開機関:
ロシア大統領府
元記事公開日:
2019/01/23
抄訳記事公開日:
2019/03/22

モスクワ国立大学評議員会会合におけるプーチン大統領の演説

Meeting of Moscow State University Board of Trustees

本文:

2019年1月23日付ロシア大統領府の標記発表は、このほど開催された(プーチン大統領が議長を務める)モスクワ国立大学評議員会会合の冒頭で大統領が行った演説の内容を伝えている。概要は以下のとおり。

今日、モスクワ国立大学の研究チームは、重力波や宇宙の起源の研究に特化した”LIGO”のような高度な国際プロジェクトにおいて、具体的な役割を果たしており、それによって現代の天文学と宇宙論の発展に多大な貢献をしている。

学生や大学院生は、ロシア科学財団およびロシア基礎研究財団から助成金を受けていて、化学や物理学から神経科学や医学まで、幅広い科学的テーマを有する研究室が若手研究者向けに設立されつつある。

明らかなのは、大学の広範な科学的、教育的潜在能力は、行政、経済、社会分野における国家開発課題に対処し、この新しい技術の時代の重要な分野におけるブレークスルーを確実にすることができる高度なスキルを有するスペシャリストの教育において、より効果的に利用されるべきであるということだ。一言で言えば、ロシアの高等教育システム全体、そしてもちろんその主力であるモスクワ国立大学は、この国が直面する戦略的目標を達成する上で重要な役割を果たすように考案されたものである。

特に、人工知能などの優先領域での発見、パイロット・プロジェクト、完成品、そしてそのような画期的な解決策を考案することができる人材を必要としている。モスクワ国立大学は、量子物理学、ビッグデータ解析、複雑な数学的シミュレーションなど、数学と物理学の分野で強い能力を誇り、それが情報技術の面でも有利に働いている。

また、バイオ・セイフティ、医学、医薬品、微生物学、農業に焦点を当てた遺伝子研究プログラムの実施においても、モスクワ国立大学が重要な役割を果たすことを願っている。これらの分野での高度研究は、生物材料の世界的な貯蔵庫であるバイオバンクなしには不可能である。2015年以来、モスクワ国立大学の若手研究者グループがこれに積極的に取り組んでいる。

技術変化のダイナミクスは非常に大きいということを改めて言いたい。今日は、ただ前進するだけでは不十分で、ただ移動するだけでは不十分である。言われているように、急速にペースを上げ、自らの立ち位置を急速に向上させることが必要である。もちろん、モスクワ国立大学は、信頼できる格付けのほとんどの指標では、ロシアの全高等教育機関の最上位にいる。しかし、同時に、新しくて力強い大学のリーダーたちが、その立場を強化している。これは、世界と国内の両方の競争が激しさを増していることを意味するが、私は継続的な成長を期待すると共に楽しみにしている。それこそが、ロシアの科学と大学がそれらのレベルを向上させるための重要な条件となるからである。

さまざまな学科で関連分野を研究することは良いことである。問題を異なった角度から見ることができることは良いことである、なぜならば過去1世紀にわたる発見の多くがさまざまな科学の接点で行われてきたためである。しかし、同一プログラムのために学科や学部のクローンを作成するだけでは、それはおそらく少しやり過ぎである。モスクワ国立大学の3つの異なる学科がエコノミストの教育を行っており、7つの学科が経営プログラムを提供している。学位は同じだがスキルセットは異なるということか?これがどれほど効果的かを理解する必要がある。科学技術開発の分野では、今日、人文科学と(厳密な意味の)科学との接点など、学際的なアプローチのより強力な展開である分野横断的な教育・研究プログラムを必要としている。

最も重要な仕事は、研究・教育スタッフを強化し、有望な新興分野で専門知識・能力を有する真に優れたロシア人・外国人研究者を引き付けることであり、他の大学との学術交流プログラムを発展させることである。

我々が未来の大きな課題の解決を目的としたプロジェクトを必要としていることは確かである。例えば、モスクワ国立大学、ロシア科学アカデミー、そして有力企業の潜在能力を結集すべく、科学技術センターの設立プロセスをスピードアップする必要がある。

[DW編集局]