[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2019/05/17
抄訳記事公開日:
2019/07/11

BMBFが量子通信技術を基盤とするQuNETイニシアチブを助成

Sicher kommunizieren mit Quantentechnologie

本文:

連邦教育研究省(BMBF)は量子通信を基盤として高度に安全なネットワークを開発するQuNETイニシアチブを今年秋にもスタートさせることとし、概略下記のような報道発表を行った。

量子通信は未来のキーテクノロジーであり、現行の方式よりもコミュニケーションの機密性を確保できる。カルリチェク大臣はドイツと欧州がこの技術の先駆者とならなければならないとして、量子通信をドイツおよび欧州のイノベーションアジェンダの上位に位置づけた。先ずはBMBFが今秋から連邦政府のために量子通信に基づいた高度に安全なネットワークの開発を助成する。

カルリチェク大臣談は、デジタル時代において経済および社会はこれまでにないほど安全なコミュニケーションを必要としている。安全なデータ回線は現代における生命線であり、データの交換はできる限り安全なものでなければならない。量子通信はそのための他に類のない可能性をもたらす。ドイツと欧州はこの領域で他国に依存しないために、独自に能力開発をしなければならない。ドイツと欧州は世界の最も信頼に足るデータ圏となるべきであり、このテーマをドイツ・欧州の共通アジェンダとして取り上げる。QuNETイニシアチブによりドイツの最先端の研究機関や企業は共に未来の安全なコミュニケーションのため基礎を築くことになる、と語った。

QuNETでは、フラウンホーファー協会、マックス・プランク協会、ドイツ航空宇宙センター(DLR)が量子通信のパイロットネットワークを立ち上げる。量子通信はどのような盗聴の試みも感知できるため、安全なデジタルデータ交換のための全く新しい基盤をもたらすとされている。特に官庁にとってコミュニケーションの安全性が特に重要である理由は、機微なセキュリティが重要なデータが交換されるからである。国や行政における盗聴不可能なコミュニケーションは、安定した民主主義や市民の安全にとっての基本的要件である。

カルリチェク大臣はEU理事会議長国の枠組みの中で、量子通信のための汎欧州アーキテクチャーをキャンペーンしていく。その第一歩が欧州の研究開発を大きく前進させ形成していくQuNETイニシアチブである。ドイツと欧州で研究開発される技術による未来の量子インターネットの基盤形成を目的としている。

ドイツにおける量子技術の研究は国際的にはトップグループにある。連邦政府はこのフィールドにおける成果の実現を継続して組織的に前進させていく。そのため現政権中に6億5,000万ユーロを用意する。QuNETイニシアチブは他の施策と合わせ、ドイツにおける量子産業および量子通信の基礎を築き、ドイツの技術主権と経済拠点を強化するものである。サイバー攻撃からの情報通信システムの防衛は、経済および社会がデジタル化の進歩やチャンスの恩恵を受けるための決定的な前提条件である。

量子通信は回避することのできない物理的原則に基づいている。情報がコピーされたり、操作されたりすることはない。攻撃者によるどのような盗聴もデータの受信者によって必然的に感知される。これまでのところ、こうした接続は100キロメートルまでの距離および一つのポイントから他の一つのポイントへのみが可能である。しかし将来は長い距離の安全な接続が実現されることになる。実証するためにはテストトラックが必要であり、そのため既にバイエルン、ザクセン、チューリンゲン州が接続され、光ファイバーリンクおよび研究ラボ等のインフラが用意されつつある。

[DW編集局]