2019年6月21日付けの国家科学技術会議（NSTC）による標記記事の概要は以下のとおりである。

AIは、経済、医療、安全保障、法律、交通機関、そして技術自体を含む社会のほぼすべての側面に利益をもたらすことが期待されている。2019年2月11日に、トランプ大統領は大統領令13859「AIにおける米国のリーダーシップ維持」に署名している。

本大統領令に基づき、米国のAI技術とイノベーションを促進し保護するための取組みである「米国AIイニシアチブ（American AI Initiative）」を開始した。本イニシアチブでは、民間部門、アカデミア、公的機関、および同じ意見を持つ国際的パートナーと協働して、政府全体の戦略を実行する。イニシアチブの重要な指令では、連邦政府機関に対して、AI研究開発投資の優先化、高品質のサイバーインフラおよびデータへのアクセスの強化、AI技術標準の開発の主導、そしてAI時代に対応した労働力開発のための教育および訓練機会の提供を求めている。

本イニシアチブを進めるための「国家AI研究開発戦略計画（2019年改訂版）」では、連邦が資金支援を行う以下の8つの戦略的優先投資分野が特定された。この2019年改訂版は2016年に発行された初版に、その後の3年間の研究、技術イノベーション等を考慮し、産学、NGOを含む広範囲な社会からの意見を踏まえ、一流のAI研究者らの協力のもとに改訂したものである。

戦略1：AI研究への長期的な投資
戦略2：人間とAIの協働のための効果的な方法の開発
戦略3：AIの倫理的、法的、社会的含意の理解と対処
戦略4：AIシステムの安全性とセキュリティの確保
戦略5：AIのトレーニングとテストのための共有の公共データセットと環境の開発
戦略6：基準とベンチマークを介したAI技術の測定と評価
戦略7：国家のAI研究開発人材の需要の適切な理解
戦略8：AIの進歩を加速するための官民パートナーシップの拡大

戦略8は今回新たに加えられた項目である。これは、民間資金によるAI研究開発の高まりや、産業界における急速なAI技術の取り込みを背景に、連邦政府の研究開発において民間セクターとの協力を拡大するよう望む声が多く寄せられたことを踏まえたものである。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]