[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2019/10/18
抄訳記事公開日:
2019/12/09

市民科学を自然な研究方法として定着させる

Karliczek: "Wir wollen Bürgerwissenschaften als selbstverständliche Forschungsmethode etablieren"

本文:

ドイツ連邦教育研究省(BMBF)は市民による研究に870万ユーロを追加投入し、科学と社会との協力を新たな助成ガイドラインによって強化することとした。これについて下記のような報道発表を行った。

BMBFは市民科学(Citizen Science)への関与を強化する。これに関してカルリチェクBMBF大臣は、「科学と市民の間の自然で日常的なコンタクトを築いていきたい。現在の助成策によって研究機関や研究者に、市民科学への協力の継続的モデルを定着化させるよう奨励する。長期にわたる市民との継続的な協力によってのみ、相互学習および知識移転の条件を最適化できるからである。」と語った。

市民研究は拡大している。鳥の声の収集、自身の居住環境の研究、あるいは気象データの評価等、様々な分野の数多くのプロジェクトがますます増えているということは、どのように科学と市民社会が、専門知識や好奇心を持ち、楽しみながら、重要な科学的発見を生み出すことができるのかを示すものではないだろうか。こうしたトレンドを、BMBFはさらに進めていきたい。そこで特に熱意を持ったイニシアチブ、団体およびその他の市民社会組織等を支援していく。目標は、市民科学を恒久的に研究とコミュニケーションの中に根付かせることである」。

市民活動家たちは、既に長年にわたり市民科学の領域で積極的に活動してきており、研究界のために役立つ豊かな経験を有している。同助成プログラムには社会的な団体も、大学や大学外研究機関と合同でプロジェクトコーディネーターとして応募するよう求められている。

今回の助成は来年終了となる最初の助成ガイドライン「市民科学」に続くものである。これを基盤として、実り多いプロジェクトが多く生まれた今、科学システムの中にCitizen Scienceを長期的に定着化させることに重点的に取り組むことが重要である。第一助成フェーズの経験から、市民研究のプロジェクトは共に成長するために時間を必要とすることが明らかになった。即ち、ネットワークを構築し、能力を磨き、共同目標を定め推進する時間の確保のため、助成期間は3年から4年に拡張される。

「科学指針2017」によると、市民の40%以上が研究プロジェクトに参加することに関心を示している。しかし、そうした市民は、まずプロジェクトについて知らなければならない。そのため新たな助成ガイドラインでは、申請者の明確なコミュニケーションコンセプトに特別な価値を置いている。

背景情報:

BMBFはドイツにおける市民研究の最重要スポンサーであり、2016年の夏以降、約500万ユーロの資金で、3年間にわたり13の「Citizen Science Projects」を支援している。テーマの範囲は広く、環境および自然の領域から、医療関係、技術、工学、社会科学にまで及ぶ。BMBFは第二助成ガイドラインの枠組みで、市民研究に対して4年以上の期間で、900万ユーロ弱の資金助成を行う。

助成ガイドラインと並び、BMBFは2013年から存続するプラットフォーム(www.buergerschaffenwissen.den)を振興することで市民研究の構造的定着化を支援している。過去数年間、同プラットフォームはドイツにおける市民研究の中心的事務局へと発展し、参加者のネットワーク化において重要な仕事をしている。プラットフォームの助成は、品質保証、能力構築、ネットワーク強化に重点をおいて、2022年まで延長される。

[DW編集局]