[本文]
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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 国立衛生研究所(NIH)
- 元記事公開日:
- 2020/04/23
- 抄訳記事公開日:
- 2020/06/29
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国立アレルギー・感染症研究所のCOVID-19研究戦略計画
- 本文:
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2020年4月23日付の国立衛生研究所(NIH)による標記発表の概要は以下のとおりである。
NIH傘下の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の新たな戦略計画は、COVID-19 の診断、予防、治療に資する研究を加速するための同研究所の計画を詳述している。COVID-19 研究のための NIAID 戦略計画には、次の4件の主要優先課題が示されている。
第1の優先課題は、SARS-CoV-2 および COVID-19 の基本的知識の向上に関わるもので、ウイルスの特徴や、感染・疾患のメカニズムを理解するための研究である。この研究には、感染症状の程度に個人差が生じる理由を探る目的で、自然歴、伝染、観察の各研究が含まれる。ウイルスの拡散における無症状の個人の役割や、ウイルス流行の季節性の可能性も調査する必要がある。さらに、人間に見られる COVID-19 疾患を再現できる大小の動物モデルを開発する必要がある。
第2の優先課題は、COVID-19 の症例を特定して隔離し、ウイルスの拡散を追跡するための迅速で正確な診断と試験法の開発である。分子分析では、低レベルの SARS-CoV-2 を検出し、他の関連ウイルスと区別できる。研究者は、これらの診断試験法の速度と精度を改善して、現在および将来のアウトブレイク発生時の病気の蔓延の緩和に取り組む。さらに、観察の取り組みを強化し、以前に COVID-19 に感染し回復した可能性のある個人を特定するために、ウイルスに対する抗体を検出する新しく改良された血清学的試験法を開発する必要がある。
第3の優先課題は、COVID-19 の潜在的な治療法の特徴を見定めて、テストすることである。これらの取り組みには、COVID-19の治療に転用できる可能性のある、他の承認済み薬物の特定と評価、およびレムデシビルなどの広範囲の新しい抗ウイルス薬の試験が含まれる。ウイルスを標的とした抗体ベースの治療、モノクローナル抗体、ウイルスに対する個人の免疫応答を標的とするホスト主導の戦略などである。パンデミック中の発見を最適化するために、入院中や外来の患者を含むさまざまな患者集団の間で、複数の臨床試験が並行して行われる。
第4の優先課題は、個人を感染から護り、将来の SARS-CoV-2 発生を防ぐための、安全で効果的なワクチンの開発である。NIAIDの研究者とその共同研究者は、関連する中東呼吸器症候群(MERS)と重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルスに対処するために以前に採用されたワクチン候補と方式を、現在のパンデミックに適用しようとしている。たとえば、NIAIDは最近、MERSを対象として開発されたワクチン・プラットフォームを使用して、フェーズ1臨床試験を開始した。NIAIDは、幅広い臨床試験インフラを使用して、フェーズ1の安全性・投与試験を通じて実験段階ワクチンを前進させ、同時に最も有望なワクチン候補の先進臨床試験を計画している。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]