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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
- 元記事公開日:
- 2020/07/01
- 抄訳記事公開日:
- 2020/08/24
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連邦閣議が認知症戦略を採択
- 本文:
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7月1日、認知症戦略が閣議決定され、これに関してドイツ連邦教育研究省(BMBF)は概略下記のような報道発表を行った。
連邦政府は幅広い連帯の中で、ドイツを認知症に優しい国にする道へ歩み始めることになる。関係機関と共に9月に取り組みを開始し、2026年に成果発表の予定。
連邦家族・高齢者・女性・青少年大臣:フランツィスカ・ギッファイ(Franziska Giffey)
連邦保健大臣:イェンス・シュパーン(Jens Spahn)
連邦教育研究大臣:アニヤ・カルリチェク(Anja Karliczek)
よる共同声明は以下の通り:「高齢化が進み、認知症を患う人々が増加の一途を辿っている。現在その数は160万人に及び、2050年には280万人に増えるとの試算がある。これに備えるのが「認知症戦略」である。この病は我々全てに関係する。ドイツアルツハイマー協会、州および地方自治体、保健および介護関係団体、社会保険機関、市民社会、学界等との幅広い連帯の中で、どのようにしてドイツを認知症に優しい国にできるかについて、具体的に取り組みを検討した。この戦略の成功は、ひとえに関係機関全てが実行において協力できるか否かにかかっているということである。生活の全ての領域において新たな自覚を必要としている。現場における社会的支援ネットワーク、優れた医学的ケア、最先端の研究が必要である」。
戦略は全国レベルで実施される。目標達成に対して拘束力を持ち、長期的な計画となっている。27の目標が設定され、合計160の施策が合意されている。
- 現場ネットワーク:ローカルなネットワークにおいて患者や家族への支援を提供する。目標は全国的に地域レベルのネットワークを創設することで、「認知症患者のためのローカル・アライアンス」を促進する。
- 介護ケアのネットワーク:介護ケア関連活動機関の組織化のため地域認知症ネットワークの整備を追加的に改善、強化する。介護保険から提供される資金は大幅に増額される。
- 認知症への注目の向上:認知症というテーマに積極的に関わる機会への関心を促すため、全国的にキャンペーンを行う。例えば「認知症パートナー」講習や、団体や企業向けの体制支援を実施する。
- 寄り添いと助言:認知症の診断後、大部分の患者が負う負担は重すぎる。そこで専門家やボランティアの支援およびコンサルティングを拡充する。
- 「介護と仕事」ネットワーク:認知症患者の家族にとって介護と仕事のバランスが特別な重要課題となる。企業、地方自治体、介護する家族は協力して、ネットワークを築くべきである。支援に関しては連邦・家庭・高齢者・婦人・青少年省(BMFSFJ)が連邦レベルでの「監督官庁」となる。
- 介護家族に関する保健助成:認知症は介護家族を再三にわたり負担の限界まで追い込む。このため介護家族のための保健・予防プログラムを定着化させ、改善する。新たな助成プログラムを検討中である。
- 介護協力のプロセス:認知症になった場合、あらゆる介護および支援の領域が相互に関連し合わなければならない。医師、病院、介護施設、その他の関係者は「介護方針をより明確に記述し、関係者のコミュニケーション管理を最適化する。
- 認知症に理解の深い病院:作業プロセスを認知症に対して最適にすること、そして優れたスタッフによって、認知症患者に不可避な入院を軽減することができる。患者のニーズは病院および介護施設の空間設計において取り入れられるべきものである。
- 認知症研究:研究は認知症の原因に対する理解はもとより、処置やケアをも向上させることができる。各種の研究所および研究領域のネットワーク化を、全国の臨床的認知症研究ネットワークおよび認知症ケア研究ネットワークを構築することによって促進させ、研究目的のためのデータへのアクセスを容易にする。特に科学的知見は、患者のために、より迅速かつ効果的に実践へと移すべきものである。
新要介護概念(2017年)の導入に伴い、社会介護保険の給付が著しく拡大された。この給付改善は主として認知症介護を必要とする人々への恩恵となる。
[DW編集局]