[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
新華通信社
元記事公開日:
2014/07/09
抄訳記事公開日:
2014/08/11

中国共産党は腐敗対策の査察を実施し、研究機関に多発する科研費管理混乱や研究成果捏造等の問題を指摘

「中央第十巡视组:科技部一些科研项目成果弄虚作假」等

本文:

新華社等中国国内メディアは最近、中国共産党中央紀律検査委員会は腐敗対策の重要な措置として、去る3月~5月の間に北京、天津、科学技術部(MOST)、復旦大学等14の地域と組織を対象に、2014年度の初回査察を実施し、そして各査察チームより、最近それぞれ担当していた査察先の主要な幹部に対して査察の結果を告知されたと報道した。ここでは、MOSTと復旦大学に対する査察の結果と改善の提言を抜粋でまとめる。

●MOST
(出所:新華網 2014年7月9日付 URL:http://news.xinhuanet.com/2014-07/09/c_1111530887.htm
査察チームより、MOSTは中央の決定を徹底に実施し、科学技術体制の改革を絶えずに深化させ、経済社会の発展を技術的にサポートしている等として評価されたが、MOSTの抱えている主な課題として、以下が指摘された。
・党風や倹約の面では重視不足であること、公費出国や公用車手配、会議開催等で中央規定を違反する行為があること
・行政官の人事では、規範化されていないこと及びポスト移動が不十分であること
・研究課題と資金の管理では、課題採択の権力が集中しすぎること、科研費管理制度には不備があり、研究成果に偽りが存在すること、科学技術資源の一元化調整が不足していることなど

上述の課題の改善について、査察チームより、以下の提言があった。
・党風と倹約の管理を強化すること
・幹部の異動を増やすこと
・イノベーション戦略のより有効なフレームワークを設計するため、関係部門と連携を強化すること
・研究課題に対する類別管理を更に強化し、関連の管理ルールを改定すること
・変革的な措置によって科研費管理の問題を解決し、科研費への管理監査を強化すること
・評価委員の選抜制度を改善し、科学と技術の評価システムの充実化を進めること

●復旦大学
(出所:新華網 2014年7月7日付 URL:http://news.xinhuanet.com/2014-07/07/c_1111496873.htm
査察チームは、同大学は思想・政治・行動上で共産党中央と歩調を合わせ、また、世界一流の総合大学を目指して、2008年以来文科系、理学系、医学系、工学系等の学科振興において新たな進展を収めたと評価した。同時に、査察で把握した同大学の主な問題として、以下を指摘した。
・科研費管理・使用が混乱しており、規則違反が多く、腐敗を招くリスクがあること
・江湾キャンパスの建設が規定に対して重大な違反をしており、事故や腐敗を招くリスクがあること
・復旦大学発の企業の管理において、「一方で学校を営み一方でビジネスを行う」(教育をしながら企業経営に携わること)という現象が顕著であり、監察がしっかりされていないことなど

上述の問題に対して、査察チームより、以下の改善の提言があった。
・学内の党組織の建設を強化し、学長が責任を負う制度を実行すること
・科研費の管理と使用等に関わる倹約制度を整備すること
・大学発企業に対する管理を強化し、「一方で学校を営み一方でビジネスを行う」という現象を取り締まることなど

[JST北京事務所]