[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
研究・イノベーション総局
元記事公開日:
2014/07/02
抄訳記事公開日:
2014/08/07

デジタル技術が繊維工業を変える

Digital technology transforming the textile industry

本文:

欧州委員会は、2014年7月2日に標題のプロジェクト紹介記事を発表した。以下にその概要を紹介する。
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繊維工業は大量の水を消費し、操業費用が高くなる傾向にある。EU助成プロジェクトのDIGITEXはこの現状を変革しようとした。

本プロジェクトでは、必要な場所に必要な品質で繊維の上に化学物質を正確に沈着・固定させることができるインクジェット・プリント法を起源にした技術を使った衣類の生産に着手した。

DIGITEXプロジェクトでは、繊維や衣類をデジタル技術によってプリント・加工することを可能にする技術を使った。異なる液体や化学物質を繊維に応用することによって、従来の方法では不可能だった多様な機能性や性能特性が実現できるようになる。さらに、専門家によれば、本技術は市場性を兼ね備えた新世代型のスマート繊維の実現につながることが期待されている。

プロジェクト・コーディネーターであるオランダTenCate社のGerrit Koele氏は次のように述べている;「インクジェット・プリンターがデジタル指令をもとに多彩な色を塗布することができるように、デジタル・インクジェット技術は繊維のプリント・加工に応用されつつあります。このブレークスルーが意味するのは、異なる機能性の物質からなる複数の層を塗布することで、多機能繊維の生産が可能となるということです。」

本技術は、速く信頼性もあるので、欧州の繊維工業の競争力を強化するよう期待されている。さらに、環境調和型の技術であるため、環境負荷やエネルギー・コストの莫大な削減につながり、環境配慮型製造業の実現にも貢献するものと考えられている。

約10年にわたる研究・技術の開発を経て、デジタル・インクジェット機がTenCate Protective & Outdoor Fabrics社より2013年7月に発売された。この機械の登場によって、衣類メーカーは防護服生産のベースとなる最高品質の技術的に最先端の繊維を利用できるようになる。

専門家は、デジタル・インクジェット技術の発展によって繊維加工のスピードと柔軟性が更に増し、より多くの応用例を生み出し、マスカスタマイゼーションやオンデマンド提供の実現につながるものと予測している。

<プロジェクトの詳細>
・ プロジェクト名:DIGITEX (FP7)
・ 参加国:オランダ(コーディネーター)、ポーランド、ベルギー、イタリア、スペイン、英国、リトアニア
・ 総費用:約1,227万ユーロ(うち、EU拠出680万ユーロ)
・ 期間:2006年5月〜2010年12月

[DW編集局]