[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州研究インフラ戦略フォーラム(ESFRI)
元記事公開日:
2021/06/30
抄訳記事公開日:
2021/08/24

ESFRI が、2021年ロードマップに含まれる11件の新規研究インフラを発表

ESFRI announces new RIs for Roadmap 2021

本文:

2021年6月30日付欧州研究インフラ戦略フォーラム(ESFRI)の標記発表の概要は以下のとおり。

2年間におよぶ徹底的な評価と選考の手続きを経て、ESFRI は、科学的事例と実装の成熟度で高得点を獲得し、ESFRI の2021年ロードマップに新規プロジェクトとして含まれる11件の研究インフラ(RI)提案を発表した。

● ESFRI 新規プロジェクト

・EBRAINS(欧州脳研究インフラ)
神経科学、コンピューティング、技術のインターフェースにある分散型デジタルインフラであり、科学者や開発者に脳研究のための高度なツールとサービスを提供する。

・EIRENE RI(欧州における環境暴露評価のための研究インフラ)
人間のエクスポソーム(健康の環境決定要因)に関する最初のEUインフラである。

・ET(アインシュタイン望遠鏡)
欧州を重力波研究の最前線に置く前例のない感度を備えた、最初で最も先進的な第3世代重力波天文台である。

・EuPRAXIA(アプリケーションに優れた欧州プラズマ研究加速器)
プラズマ技術に基づく分散型のコンパクトで革新的な加速器施設である。ローマの大都市圏に電子ビーム駆動プラズマ加速器を建設し、続いてレーザー駆動プラズマ加速器を欧州域内に建設する予定である。

・GGP(世代とジェンダープログラム)
住民と家族のダイナミクスに関する差し迫った科学的・社会的課題に答えるべく、高品質で国家間で比較可能な長期的なデータの提供を目的としている。

・GUIDE(デジタル欧州における成長)
欧州初の出生コホート比較調査である EuroCohort は、欧州全体の子供、若者、その家族の幸福を高める社会政策策定の支援を目的とする。

・MARINERG-i(洋上再生可能エネルギー研究インフラ)
洋上再生可能エネルギー(ORE)セクターにおいて、欧州全体に広がるテスト施設のネットワークにより、国際的に分散された主要なRIとなることを目指す。

・OPERAS(学術コミュニケーションを通じた欧州研究圏におけるオープンアクセス)
オープンサイエンスを可能にし、欧州のオープンサイエンス・クラウドに沿った社会科学・人文科学(SSH)の学術コミュニケーション慣行をグレードアップするための分散型RI。

・RESILIENCE(宗教研究インフラ)
ツール・イノベーション・専門家・コネクション・研究センター、すべての宗教研究向けのユニークな学際的科学RI、高性能プラットフォームの構築、すべての科学分野の学者に対する物理的・デジタルデータへのツールとアクセスの提供。

・SLICES(コンピューティング/通信実験研究向け科学的大規模インフラ)
エネルギー消費やグリーンディールの実施に関する懸念など、デジタルサイエンスで影響力のあるRIになるという目標を有する。

・SoBigData ++ RI(ソーシャル・マイニングとビッグデータ分析のための欧州統合インフラ)
ビッグデータのレンズを通して社会現象の理解を支援するための、データセット、方法、研究スキル、計算リソースを共有するためのリソース。

採択された提案の詳細な分析により、次のキー・メッセージと結論が明らかになった。

・研究インフラ(RI)への投資には新たな勢いがある。11件の新規プロジェクトの投資総額は41億6,400万ユーロ(平均3億8,000万ユーロ)に達する一方、2018年のESFRIロードマップでは6億7,400万ユーロ(平均1億1,200万ユーロ)、2016年のロードマップでは8億5,600万ユーロ(平均1億4,300万ユーロ)であった。これは、2006年の最初のロードマップ以来これまでで最高額の新規RI投資計画である。

・先端科学向けの世界的にユニークで複雑な施設を開発するという新たなレベルの目標が見られる。アインシュタイン望遠鏡(ロードマップでこれまでで最も価値のあるプロジェクト、19億ユーロ)、EuPRAXIA (プラズマ技術に基づく革新的な加速器、5億6900万ユーロ)。

・RIの政治的取り組みと包括性の向上。平均して7か国の政府が、選抜された各プロジェクトに大臣レベルで政治的支援を提供し、平均して14か国の機関が科学レベルで選抜された各プロジェクトに参加している。

● ESFRI ロードマップについて

ESFRIは、今後10〜20年間の研究インフラに関する欧州ロードマップ(新規およびメジャー・グレードアップ、汎欧州の利益)を策定し、これらの施設の実装を促進し、必要に応じてロードマップを更新する。

[DW編集局]