[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
英国王立協会
元記事公開日:
2021/07/21
抄訳記事公開日:
2021/09/06

英国王立協会のプライバシー強化技術プロジェクト

Privacy Enhancing Technologies

本文:

2021年7月21日付英国王立協会の標記発表の概要は以下のとおり。

組織や個人が実際にデータを保護し、同時にデータへのアクセスと利用の機会を解き放つために、技術はどのように役立つのか?英国王立協会のプライバシー強化技術(PET)プロジェクトは、この問題を調査し、2019年の報告書「プライバシー保護の実際:データ分析におけるPETの現在の使用状況、開発、制約」でその成果を報告している。この報告書では、データ分析におけるPETの使用、開発、制約が示されている。

現在、アラン・チューリング研究所と共同でこのプロジェクトの再調査が進行中である。この新規作業では、さまざまなセクターにわたる新しい活用例の概要を説明することにより、研究・イノベーションを可能にする技術としてのPETの実際の有効性を説明する。

● データ・プライバシーとその重要性

我々が毎日生成するデータには多くの価値があり、個人や組織が相手を問わず共有したくはない機密情報も含まれている可能性がある。個人データまたは機密データの保護は、2017年の英国アカデミーと王立学会の報告書「データの管理と使用:21世紀のガバナンス」で特定された社会的・倫理的緊張環境において顕著に見られる。例えば、各機関は、個人に関する機密情報を保護しながら、公共の利益のために、どのようにデータを最適に使用するべきかという課題を抱える。その他の環境で言うと、商業的またはその他の機密情報を保護しながら、競合する利害関係を持つグループとデータを共有する方法が必要になる。

大規模なデータ分析を最大限に実現するには、法律、評判、政治、ビジネス、競争に関する重大な懸念によって制約を受ける可能性がある。一定のリスクは、「プライバシー強化技術」と総称される一連の新技術・新方式によって、軽減・管理できる可能性がある。

● プライバシー強化技術(PET)とは

PETは技術と取組の画期的なであり、より広範な政策とビジネスの枠組の変更と組み合わせることで、プライバシーを保護する方法でデータの共有・使用を可能にする可能性がある。また、データ経済を再構築し、市民、政府、企業間の信頼関係を変える可能性もある。

● プライバシーの実際

2019年の報告書では、特に応用データ科学研究と政府省庁や企業のデジタル戦略に情報を提供する目的で、現在有望な多様な性格を有する5件のPETについて、様々なセクターからのそれぞれの準備レベルおよび実例となるケーススタディと併せて、ハイレベルな概要を提示した。この報告書には、英国がPETの可能性を完全に実現し、より大規模に使用できるようにする方法についての提言も含まれている。

※ 上記2019年報告書に示されたPETは次の5件である。

・準同型暗号化(Homomorphic Encryption)
・信頼できる実行環境(Trusted Execution Environments)
・安全なマルチパーティ計算(Secure Multi-Party Computation)
・差分プライバシー(Differential Privacy)
・個人データストア(Personal Data Stores)

[DW編集局]