[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2021/09/08
抄訳記事公開日:
2021/10/21

2021年戦略フォーサイト報告書:EUの長期的な能力と行動の自由の強化

2021 Strategic Foresight Report: Enhancing the EU's long-term capacity and freedom to act

本文:

2021年9月8日付欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。

欧州委員会はこのほど、2回目の年次報告となる戦略フォーサイト報告書「EUの能力と行動の自由」を採択した。本報告書では、ますます多極化し紛争が多い世界秩序における、EUの開かれた戦略的自立について、将来を見据えた学際的な視点を提示する。欧州委員会は、EUの能力と行動の自由に影響を与える4つの主要なグローバル・トレンドを特定した。また、EUがグローバルなリーダーシップおよび開かれた戦略的自立の機会をつかむことができる10の主要な行動領域を設定している。

● 4つの主要グローバル・トレンド

・気候変動とその他の環境問題
地球温暖化は、おそらく今後20年間で1.5℃を超え、2050年までに2℃に向かい、世界中の水と食品の安全に対する圧力を悪化させることになる。2050年までには、生態系への影響もあり、2億人が人道支援を必要とすることになる。

・デジタル・ハイパー接続と技術変革
世界的に接続されているデバイスの数は、2020年の304億から2030年には2,000億に増加する可能性がある。オブジェクト、場所、人の接続性が向上すると、新しい製品、サービス、ビジネスモデル、生活と仕事のパターンが生まれる。この両者の移行における欧州のグローバルなリーダーシップ目標は、それを収益性のある新興市場に強く位置づけ、確立されたセクターと新興セクターの両方で、グリーン雇用などの新しいタイプの雇用を生み出す可能性がある。

・民主主義と価値観への圧力
2020年の時点で、世界の人口の34%が民主的統治が衰退している国に住んでおり、民主化が進んでいる国はわずか4%であった。新しいツールやオンライン・プラットフォームを利用した大規模な誤った情報は、民主主義システムにますます大きな課題をもたらし、新しいタイプの情報戦争をもたらす。

・世界秩序と人口動態の変化
世界はますます多極化している。中国はこの10年の終わりまでに最大の経済大国になると見込まれており、インドは今後20年間でEUを超える可能性がある。世界の人口は2030年に85億人、2050年に97億人に達すると予想されているが、EUの人口は5%減少し、2050年までに4億2,000万人強になると予想されている。

●10の戦略的政策行動領域

・持続可能で強靭な保健・食料システムを確保する。
・脱炭素・低価格エネルギーを確保する。
・データ管理、人工知能(AI)、最先端技術の能力を強化する。
・重要な原材料の供給を確保し多様化する。
・標準設定で先発者のグローバルな地位を確保する。
・強靭で将来性のある経済・金融システムを構築する。
・EUの目標に合致したスキルと人材を開発し、維持する。
・安全保障・防衛能力・宇宙へのアクセスを強化する。
・グローバルパートナーと協力して、すべての人々の平和、安全、繁栄を促進する。
・機関の強靭性を強化する。

[DW編集局]